国内ミステリー作家あ~お

6つの迷宮の謎に迫る『絶叫城殺人事件』が面白すぎる

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いやー、もう10年以上前の作品なのに

読み返したくなるんですよね

本当に好きな作品なら、2,3回は読み返すことはあるのですが、『絶叫城殺人事件』に関しては恐らく

数10回は読み返していると思います。

絶叫城殺人事件は、ミステリー作家・有栖川有栖と臨床犯罪学者・火村英生のコンビが活躍する

“作家アリスシリーズ”の一つ

シリーズ、一作目『46番目の密室』さえおさえていれば読む順番はあまり気にしなくてもいいと思っています。

勿論、前に出てきた登場人物が出てくることもありますが

気にならない程度にしか出てこないです

なので、順番通りにこだわらずに読めるシリーズです。

有栖川有栖『絶叫城殺人事件』

1.『黒烏亭殺人事件』(こくちょうてい)

2.『壺中庵殺人事件』(こちゅうあん)

3.『月宮殿殺人事件』(げっきゅうでん)

4.『雪華楼殺人事件』(せっかろう)

5.『紅雨荘殺人事件』(べにさめそう)

6.『絶叫城殺人事件』(ぜっきょうじょう)

の計6編からなる短編集で舞台はすべて建物なので

館ミステリー好きには、かなりおすすめできる短編集です。

どのお話しにも、特徴いっぱいで魅力的な建物が出てきてそこで起こる殺人事件がかなり特殊だったりする

殺人が特に、特殊だったのは『壺中庵殺人事件』です

被害者が密室で、頭に…

おっと、詳しい話は、あらすじで紹介しますね。

今回は、6編中特に面白かった3編のあらすじを簡単に紹介します。

話の核心を突くようなネタバレはないので安心して読んでください。

『黒烏亭殺人事件』

本書、『絶叫城殺人事件』1番最初の話にして、1番悲しいい事件です。

「火村と来てくれないか。」と大学時代の友人・天農仁に頼まれ、アリスと火村は天農が暮らす黒烏亭へ足を運ぶ

黒烏亭は、外装がまっ黒で統一されていて、周辺に烏が多いことからその名前が付けられたお屋敷。

しかし、築半世紀以上経っていることもあり

そこそこ、ボロい…

でかいだけのボロ屋だ、という主人の弁はあながち謙遜でもないことが、入ってみてすぐ知れた。

築後半世紀ほど経ているらしく、板張りも床は一歩ごとに軋み、少しの風に窓がガタガタと鳴る。

冬場は隙間風に悩まされるそうだ。

老朽化の進行を阻止する措置は、ずいぶん長い間とられていないようだった。

p.17より引用

黒烏亭で殺人事件が起き、警察の捜査は難航

そこで天農は、警察の依頼で数々の事件を解決してきた火村と作家活動の傍ら火村の助手をしている有栖に本事件のヒントを、と屋敷に招いたのです。

支店長夫妻の名前は並木将人、峰子。

二年前の夏に峰子を刺殺して逃走し、音海断崖から投身自殺を遂げたはずの将人の死体が、裏庭の片隅にある古井戸から発見されたのである。

p.27より引用

“死んでいるはずの遺体が発見された”という謎を2人で解決していく物語

多少強引さを感じさせる回答でしたが

何とも言えない悲しさが襲いかかる事件でした。

『壺中庵殺人事件』

茶室よりわずかに広いくらいの地下室“壺中庵”で

主人である壺内刀麻(つぼうちとうま)が縊死体で発見。

地下の部屋なので四方の壁には出入り口は存在せず

1階に出るための梯子を使ってのみ出入りが可能。つまり、出入り口は頭の上のみという少し癖のある部屋です。

発見時、出口には閂がきっちり掛かっていたので

いわゆる、密室殺人です。

壺内の遺体には、頭にすっぽり収まる大きさの壺がかぶさっていたという意味不明さ

奇妙なのは、首をくくった男の頭部に、すっぽりと大きな壺がかぶさっていることだった。

険峻な岩山が描かれた中国風の壺だ。

p.69より引用

密室トリックの回答は、かなり鮮やかで

いかにも有栖川有栖先生らしい。

この密室を作った犯人のどこまでも救いようのない冷酷な感情と火村の冷静さが物語の微妙なバランスを取っていて

フーダニットとハウダニットを解き明かしていくのですが

よくこんなこと思いつきますね。

3.『絶叫城殺人事件』

6編の中でも絶叫城殺人事件はかなりの逸材

全体から漂うダークな雰囲気、設定がかなり自分好み

切り裂きジャックばりの連続通り魔殺人が発生

しかし、警察がこの二つの事件から得た犯人像は少なく

捜査はかなり難航していた。

3人目の被害者が出た頃ようやく掴んだ手掛かりが

犯行後に被害者の口の中に残した紙

そこに記されていたのはNIGHT PROWLER/ナイト・プローラー”日本語で夜、うろつく者という意味

このナイト・プローラーというのは

今、巷で流行しているゲームソフト『絶叫城』に出てくる怪物を指す言葉。

「ナイト・プローラーというのは、何を指しているんですか?」

「ゲームの副題でもあるんですが、作中に登場する殺人鬼というか怪物の名前ですね。

ナイフを振りかざして次々に女性を襲っていくんです」

p.304より引用

ゲームでは、ナイトプローラーが『絶叫城』に4人の女性を閉じ込めて刺し殺す。

女性側は、『絶叫城』の謎を解明しない限り、『絶叫城』からの脱出は不可能。という、ホラーゲーム

本作の犯行はこのゲームになぞられて行われているわけです。

本作の設定と胸を引き裂くような悲しみにも似た感情を抱けるのはミステリ作家多しといえども有栖川有栖先生だけでしょう。

にしても、こんな事件は起きないで欲しい。いや、起きてはいけない。

おわりに

↓の記事でも紹介していますが

短編集をおすすめするなら確実に入ってくる読みごたえのある作品でした。

今回は、3編のみ紹介しましたが

他の『月宮殿殺人事件』、『雪華楼殺人事件』、『紅雨荘殺人事件』も安定して面白いです。

ただ、紹介した3編、特に『絶叫城殺人事件』が私好みで飛び抜けて楽しく感じただけという事

他、3編は読んでからのお楽しみということでお願いしまーす。

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