ラノベ

土橋真二郎『バーチャル人狼ゲーム』-密室で繰り広げられるスリル満点のデスゲーム

土橋真二郎『バーチャル人狼ゲーム』

 

この本はこんな人におすすめ!!
  • 人狼ゲームを題材とした作品が好きな人
  • ハラハラ・ドキドキの心理戦を読みたい人

『人狼ゲーム』は2、3年前に流行った心理ゲームです。

シンプルがゆえに奥深いこのゲームは、スマートフォンアプリ、映画、そして小説などで幅広く題材にされました。

私はこれまで多くの人狼ゲームを題材にした小説を読ませていただいてるのですが、まさか2018年に新刊としてお目にかかれるとは…

 

題材が題材なだけにかなり心理描写が多く、心理戦などが大好きな私にはとても面白いお話でした(^^♪

「生き残りたい。だけどクラスメイトを手にかけることが出来ない…。」という主人公の葛藤など、読んでいて非常にワクワクさせてもらいました。

土橋真二郎『バーチャル人狼ゲーム』


学園祭の出し物として、演劇を行うことになった高坂直登(こうさか なおと)が所属する2年4組の生徒たち。

どうせならバーチャル空間を使った演劇をしようと言う話になり、演目ソフトをセットし、仮想空間にログイン。

しかし、彼らを待ち受けていたのは、真っ暗な森にたたずむ血にまみれた白いうさぎだった。

そのうさぎは、強引に演目を決定。

『すでにあなたたちが行う演目は決まっています』
「結構強引なナビだな」
高坂たちは顔を見合わせる。

『それは死の演目。リアルな死を演じてもらいます』

p.39より引用

この直後、狼たちに襲撃され実際に喰われたクラスメイトは現実世界でも死んでいた…

さらに、うさぎが提示したルールに反した行動をする者も死んだ。

 

高坂は、うさぎが言うところの『死の演目』というのが『人狼ゲーム』をモチーフにしていると気づいた。

ということは、クラスメイトの中に狼役。つまり村人を殺す配役を与えられている者がいるのか?

逆に村人サイドは教室で苦楽を共有してきたクラスメイトを疑い、吊るし上げなければいけない。

 

これは仮想世界と現実世界で繰り広げられるリアルな死のゲーム。

そのゲームをプレイするプレイヤーに選ばれてしまったとある不幸な生徒たちのお話。

バーチャルでも現実でも「村」閉じ込められる

バーチャルで狼からの襲撃を振り切り村に到着したところでようやくログアウトすることに成功しました。

ところが、せっかく現実の世界に戻れたというのに高坂たちは全く見覚えのない空間に閉じ込められていたのです。

見たところ、どこかの地下ではあるようだし、食料も充分にある。

 

周りを見渡してみるといくつか扉があるが開いてくれたのはトイレの扉のみ…

高坂はその部屋の中で一段せり上がったスペースが目につきました。

そのスペースに立った高坂は眉根を寄せる。足元に何かが描いてある。×を繋ぎあわせたようなラインが円を書くように記されている。その中にさらにいくつかのマーク。

p.58より引用

×マークで囲われた中には、炎のマークに墓地のマーク、さらには太陽と月が描かれた時計などがありました。

 

そうです、これは人狼ゲームで言うところの「村」なのです。

高坂たちはバーチャルでも現実世界でも「村」に閉じ込められてしまったのです。

 

「村」を模した奇妙な空間に閉じ込められ、その中にいる狼を探し出す心理戦…

王道な設定ではありますが、完全に私のツボを押さえてます!!

人狼ゲームではベタベタな展開がまたいいんです!!

人狼ゲームには狼や村人の他にも占い師という配役があります。

もちろん、占い師は村人サイドの人間ですので味方です。

その占い師に与えられた能力は、狼を探し出すこと

基本的に人狼ゲームでは占い師が名乗り出てゲームを展開していくのです。もちろん本作でも例外ではありません。

 

狼が誰であるのかが分かる占い師は、村人からの信用を得やすいことから狼サイドが占い師の名乗るということもしばしば…

「最後に、そんな私に与えられた配役は―占い師です」

p.116より引用

ゲーム序盤で占い師を名乗り出た柊木由希(ひいらぎ ゆき)表紙のかわいい女の子です。

しばらくは彼女が占い師ということを疑わなかったクラスメイト達ですが…

「俺は占い師だ」
二人目の占い師の登場。これもある意味人狼ゲームのセオリー。そして彼は柊木由希を指さした。
「狼は見つけている。狼は―彼女だ」

p.160より引用

そういったのは、学校でも上位成績を残す香川泰明(かがわ やすあき)。

さらに、先程まで占い師を名乗っていた柊木を狼だとまで言い切ります。

 

占い師が2人居る以上片方はほぼ確実に狼。

果たして、狼はどっちなのか?

人狼ゲームのルールがわからない人にはつらいかも…

私が本作を読んで感じた率直な感想としては、読み手が人狼ゲームのルールを知っていることを前提に書かれた作品と感じました。

理由としては、話が進むごとに紹介される人狼ゲームの基本的ルール

ルールを把握してる人からすればそれまでに起きた出来事は当たり前だったのかもしれませんが、分からない人は途中で本を閉じてしまうかもしれません。

 

冒頭でも言ったとおり、人狼ゲームを題材としている作品は沢山あります。

さらに言うならば、もう人狼ゲームを題材とした作品の旬は過ぎているわけです。

なので、作者さんが読者が人狼ゲームのルールは把握している前提として書かれた理由もわかります。

 

もちろん、私が感じただけで土橋さんは全くそのつもりはないかもしれませんが…

あくまで、私個人が感じたことなのでご容赦を。

まとめ : 思考が止まらないスリリングなラノベ!!

前の見出しで色々言いましたが、人狼ゲームを題材とした作品の中でもかなり面白い分類に入る作品です!!

 

人狼ゲームでもセオリーな展開を入れつつ、バーチャルとリアルを行き来する設定を上手く生かしたあのトリックは素晴らしいの一言でした。

この手のお話が好きな人にはぜひ読んで欲しい一冊です。

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