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早坂吝『探偵AIのリアル・ディープラーニング』が面白すぎたので読んで欲しい

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きました、ついに来ました!!

早坂吝さんの『探偵AIのリアル・ディープラーニング』が発売されてしまいました!!!

しかも、表紙の美少女のイラストを書いたのは西尾維新さんの『化物語(上) (講談社BOX)』や『掟上今日子の備忘録』なども手掛けているVOFAN先生。

さらに、早坂先生の新しい試みなのでしょうか、今回はいつもの早坂吝さんの作風ではなく全く違う書き方をしていました。

難しい使い回しが少なかったり、キャラが非常に立っていたりと全体的にラノベのような印象でした。

例えるなら、そうですね…。

そう、西尾維新さん。

しかも、『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社ノベルス)』の時のようなキレッキレの言葉遊びと本格を引っ提げたあの頃の西尾維新さんのようでした。

早坂吝『探偵AIのリアル・ディープラーニング』

人工知能の研究者・合尾創(あいおつくる)は自宅のプレハブで焼死体として発見されました。

その創の息子・合尾輔(たすく)がたまたま父の部屋を探索していると、写真立から謎のSDカードを発見します。

そして、SDカードをPCで起動すると…

「初めまして。私は合尾創教授によって開発された人工知能の《刑事》相以(あい)。あなたはどなたですか。」

p.20より引用

登場しました!! 賢くて可愛いAIの相以ちゃんです。

最初は《刑事》のAIとして作られた相以ちゃん。

ですが、事件解決時にフレーム問題を起こしてしまったことから大量の推理小説をディープラーニングすることに。

その結果《探偵》にジョブチェンジするわけです。

晴れて、《探偵》のAIになった相以ちゃんがテロリスト集団「オクタコア」の引き起こす事件を華麗に解決していくお話です。

そもそもディープラーニングってなんぞ??

「ディープラーニング」って聞きなれない単語なんですがそんなに難しい言葉ではありません。

要は、人間の脳神経回路を機械にも学習させよう!!って感じの機械学習の手法の一つです。

ざっくりと説明すると

大量の猫の画像をAIに見せる→AIは猫がどんな動物なのかをしっかりイメージとして記憶。

結果、どんな猫を見せようとAIは「これは猫」と認識できるというものです。

一見簡単に見えますが、ディープラーニングを使わずAIに猫を認識させるというのはとても難しいらしいのです。

なぜかというと“人間は猫というイメージを言語化できない”からです。

確かに、「猫を言葉で説明して」と言われると難しいですよね。

「四足歩行でひげが生えている動物」と言われても犬だって同じ特徴なんですから。

ディープラーニングを用いることで言語化できないものでもAIに教えることが出来るというのは非常に素晴らし技術ではないでしょうか。

※『探偵AIのリアル・ディープラーニング』を元に自分なりにネット調べてディープラーニングとは何かを説明させて頂いております。なので、完璧な解釈ではありません。その辺りはご了承くださいm(_ _”m)

つまり、リアル(現実)でディープラーニング(AIが学習)するから『探偵AIのリアル・ディープラーニング』というタイトルなのです!!

学習するわけですから、最初から完璧な探偵AIではなくむしろポンコツ…。

最初の推理なんてむちゃくちゃでしたよ。

そのポンコツAIが話を重ねるごとに成長していき、徐々にホームズばりの推理を披露するんです。面白くないわけがありません!!

双子のAI姉妹で推理バトル!!

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そうそう、これも重要だから言っておかないとね。

実は、相以ちゃんには双子の妹がいるんです!!

相以ちゃんはAI実際に双子がいるわけではありません。合尾創に同時に作られたもう一人のAIがいるという意味です。

相以は《刑事》として作られたので、妹はその逆《犯人》として作られています。

「実は合尾教授は私と並行して、もう一つの人工知能も開発していたのです。人間で言えば双子の姉妹といったところでしょうか。

彼女の名前は私の名前をひっくり返した以相(いあ)。

姉の私が《刑事》の人工知能であるのに対し、妹の彼女は《犯人》の人工知能でした。」

p.25より引用

この妹の以相ちゃんは悪の組織「オクタコア」の一員に奪われてしまい悪用されてしまいます。

しかし、以相ちゃんにもある目的があって…。

悪の組織「オクタコア」に悪用されて、犯罪を起こしていく以相のトリックを相以が解決していくだけでなく

「オクタコア」の陰謀を暴く話や、その「オクタコア」の本拠地での生死を賭けた推理バトルなどなど

ワンパターンではなく、一般受けするラノベの様な熱い話が多く収録されています。

『探偵AIのリアル・ディープラーニング』の中のおすすめ作品

言い忘れていましたが、『探偵AIのリアル・ディープラーニング』は

・『フレーム問題』

・『シンボルグラウンディング問題』

・『不気味の谷』

・『不気味の谷2』

・『中国語の部屋』

以上5編からなる短編小説です。

そのなかでも特に面白かった3作品を紹介させていただきます。

『フレーム問題』

先程も少し説明しましたが、相以と以相を作った創が自宅のプレハブで焼死体として発見された事件です。

しかも、本格好きにはたまらない密室という状況下で。

しかし、死因は焼死ではなく近くのストーブに頭を強く打ったことが死因。ではなぜ犯人はプレハブに火をつけたのかという話です。

もちろん、最初はポンコツ刑事AIなので推理はめちゃくちゃ。

解決案で推理小説を大量にディープラーニングさせ、《探偵》に転職した相以ちゃんの推理が輝く話でもあります。


まず一番最初に収録されているこの話は外せないですよね。

なぜプレハブに火をつけたのかというホワイと

どうやって密室を作って脱出したのかというハウダニット。この二つの回答が素晴らしい。

早坂吝さんらしいキレの良いロジックが炸裂する事件。

『不気味の谷2』

合尾家の母は輔が幼い頃に不審な死を遂げています。

その母の死の真相を相以ちゃんが見事解き明かしてくれるお話です。


ここでようやく相以ちゃんが「人間らしい推理」をできるようになると同時に人間らしくもなります。

「人間らしい推理」で母の死の真相が解き明かされ、悲しい真実も見えてきます。

『中国語の部屋』

「オクタコア」の本拠地にて生死を掛けた推理バトルが繰り広げられ、さらに、以相の真の目的も明らかになります。

いや、どちらかというと推理バトルより以相の真の目的の方が重要な気がする…。


早坂吝さんのいつものミスリードに惑わさせ「はっ??」と思わず声を出してしまいました。

「今回は早坂ワールド展開しないな~」なんて油断していたらいきなりぶっこんできました!! さすが早坂さん。

おわりに

表紙を含めて全体的に、一般受けするラノベの様な印象を受けた今回の早坂吝さんの作品。

しかし、作風を変えても早坂ワールドは健在でした!!

安定して読みやすく、いや、作風を変えたおかげでいつも以上に読みやすく仕上がっており、満足度も高い一冊でした。

www.yamada-books.com

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