国内ミステリー作家は~ほ

『タイトルはそこにある』は発売までに4年かかった堀内公太郎の力作なのだ!!

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堀内公太郎さんの『タイトルはそこにある』を読み終わりました!!

なんと、『タイトルはそこにある』は担当編集者さんが出題したお題に沿って書かれた短編・中編小説の作品集!!

普通に小説を書くのも難しいのにお題は担当編集者さんが決めるなんてめっちゃ鬼畜やん…。

担当編集者さんが出すお題がどれも面白いモノばかり

それだけでなく、お題を上手に使っている堀内さんの文章力。帯の「鬼才」は釣りじゃないって確信しました。

1編読み終わるごとに「次はどんなお題で書かれるのかな??」と次の話にワクワクしながら読んでいました。

あと、堀内公太郎さんの作品を読ませていただくのは初めてでしたが(アンソロジーは除く)

どの話も人間関係に謎を織り込んでいて、まるで2時間ドラマでも読んでいるかのような感覚でスラスラと読めました。

堀内公太郎『タイトルはそこにある』

先程も言いましたが、『タイトルはそこにある』は担当編集者さんが出題するお題に沿って書かれた5つのお話。

1編進むごとにそのお題もどんどん難しくなっていきます。

読み手側としてはかなり読みごたえのある作品になっているのではないでしょうか。

1.『主役のいない誕生日』

お題:演劇を扱った中編で登場人物は4、5人の少数に絞る。というものです。

現在行方不明の早乙女あやの誕生会の招待状が差出人不明で、ある4人の人物に送られてきます。

早乙女あやさんの誕生会のお知らせ

拝啓 花の盛りも過ぎ、行く春を惜しむころとなりました。皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
さて、早乙女あやさんが行方不明となられて、はや二か月がたちました。
現在も消息がつかめていないことは、皆様もご存じのことと存じます。
つきましては、あやさんの二十六回目の誕生日に、あやさんと親しい間柄にあったみなさまにお集まりいただき、主役不在の誕生会を開催いたしたいと考えております。
敬具
p.7より引用

こんな感じで、あやさんと仲の良かった4人に招待状が送られています。

要は、「仲が良かったみんなならあやさんの居場所くらい知っているんじゃない??」的なノリで集められたわけですね。

うまい具合に、人間ドラマの中にミステリーを差し込んできてグイグイ世界観に引き込まれる作品。

それに、ある人物の一言で読者をひっくり返しにくる…。

それだけならまだしも、最後の最後でのどんでん返し!!

これがたまらんのです。どんでん返しのタイミングがドンピシャ!!

一発目からハードルめっちゃ上がったので後ろの作品は大丈夫なのかと心配になるほど。

2.にんじんなんてキュウリなんだよ

お題:回想、場面変更、一行アキ一切なしのワンシチュエーション・ミステリ登場人物は3人

まさか2編目でここまで鬼畜なお題を出題するとは担当編集さんはなかなかのドSなのかな。

クリスマスイヴにちょっと高めの人気ホテルに宿泊し、パーティを予定していたカップル。

二人は結婚前で幸せの絶頂にいたのです。

高校時代からの共有の友人もホテルに招き、3人でクリスマスパーティをしようということになったのですが

その友人に過去に2人が浮気をしていたことを暴露され、楽しいはずのパーティは一瞬で気まずい雰囲気に…。


何が本当で何が嘘なのか全くわからなくなるお話でした。

あとがきで語っていた堀内さんの策略もしっかり効いていて、「ページをめくる手が止まりませんでした。」

そして、最後には安定のどんでん返し。

普通、物語が短ければどんでん返しもそこまで「ドカーン」とは来ないのですが

「中編なのによくここまで驚けるどんでん返しが出来るよな」と感心してしまうくらいドシっと響くどんでん返しでした。

3.『おしゃべりな男たち』

お題:登場人物は2人で会話文のみで書かれた作品。

まじで会話文のみで書かれているお話!! (そりゃそうだけど)

会話文だけなのでサックと読めてしまいます。

この話を読めば、地の文(会話文以外の文字)の重要性が伝わるのではないでしょうか。

会話文だけで構成させている作品は漫画、舞台を含めて多く存在していますが

漫画ならば、絵である程度までの情報を読者に伝えることは可能です。

舞台でも役者が身振り手振りなどを用いることである程度聞き手に状況を伝えることが出来ます。

しかし、小説は文字だけで構成されているのでそうはいきません。

多少、話の展開にスピードが乗りすぎている所がありましたが私はスピーディな話が大好きなのでむしろ気に入りました!!

4.『雪月花の女たち』

お題:3人の女性による独白リレー(できれば3人全員を主人公に)出番を終えた語り手は再び登場してはならない。

看護師の姉妹の元に警察がある男性の殺人事件の捜査で事情聴取にやってきました。

男は、家族を思いやる気持ちを逆手に利用し、姉妹と同時に交際をしていたというクズ男。

挙句、姉妹からちょくちょくお金も、もらっていたなんていうクズなんです。

それにしてもこの話、読んでいて違和感が半端ない…。


独白リレー形式の話は好みのものが多いので期待が高まりました。

しかし、一度登場すると再登場はできないというルールは厄介ですね。

これをどうやって書ききるのか楽しみにしながら読みました。

そして、あのオチにびっくり。それどころかリアルにひっくり返るところでした!!

最後の一言、あれはマジで鳥肌ものだった。そのせいで、話に違和感があったのか、納得です。

ちなみに、『タイトルはそこにある』全体を通して一番お気に入りの作品でした。

5.『タイトルはそこにある』

お題:?(あとがきでは公開されています)

亡くなった脚本家・黒木よって書かれた脚本のタイトルを当てるというお話。

謎解きのヒントは、黒木が脚本を配るときにみんなに言っていた「タイトルはそこにある」という言葉と

黒木の妻である片岡加奈子の名前。

100冊を軽く超えるのになぜか手作業で脚本に巻かれた紐。

それに、生前黒木が雑誌インタビューで答えた内容のみという難易度の高さ。

さすがはタイトル作だけあってかなり面白い。

黒後家蜘蛛の会 (創元推理文庫)』のオマージュとして書かれたそうなのですが、雰囲気はもはや『黒後家』のそれ。

一見使い古された謎でしたが、テンポの良い謎解きで『タイトルはそこにある』の最後に相応しい最終話でした。

おわりに

コンセプトが面白そうだからという理由で買ったのにまさかここまでのめりこんでしまうとは…。

これだから、初見の作者さんの作品をいっぱい買ってしまうのです(#^^#)

それに、本書のあとがきは堀内公太郎さんが自ら『タイトルはそこにある』を書くにあたって

難しかったところや苦労したところを書いてくれています。

それに、幻の4話目や気になる次のお題も…。

とにかく、そこまで含めて本書の良さなので、あとがきを普段は読まない人もしっかり目を通してみてください。

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