小路幸也『すべての神様の十月』-心がほっこりする短篇集でした。

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いつも通り書店で時間潰しがてら

文庫本コーナーへぶらりと行くと

 

タイトルと美しい表紙につい目を引かれてしまった

本がありました。

 

小路幸也『すべての神様の十月』

 

 

ついつい購入してしまいました。

 

内容は死神や疫病神などの負のイメージを

持っている神様や

道祖神などのよくわからない神様を題材とした

心温まる全7篇の短編集です。

 

一応、ミステリ小説にカデゴリーされてはいますが

個人的にはライトミステリといった

気軽に読める書籍だった印象です。

 

 

小路幸也『すべての神様の十月』あらすじ

 

幸せな死神

 

榎本帆奈は憧れの上司と一緒にできる喜びから

とあるバーでお酒を飲んでいました。

 

そこで偶然にも死神を召喚し、契約までしてしまいます

 

死神と友達になった帆奈は

死神には幸せを感じる瞬間が

一つしかないということを知ります

 

負のイメージが多い死神の幸せを感じる瞬間とは

一体何なのでしょう

 

 

貧乏神の災難

 

この話は2人の視点で描かれています

 

池内視点

 

真面目な父と妻の鏡のような母の間に生まれた

池内雅人は貧しい家庭で育ったが

両親の協力のおかげで

国立大学を卒業することができました。

 

池内は下手に正義感が強く

悪いことをしている人が許せない性格

 

その性格が仇となり

大学卒業して3年

クビになった会社は3社

全て、暴力沙汰が原因でクビになっています。

 

表面的には大問題で会社をクビになっているにも

関わらず

1流企業の会社に3社とも受かっています。

 

彼は昔から地味に運が良いと自称していて

自分の人生をこう称しています。

「<小吉人生>って自分では思ってますよ」

P.62より

 

 

大庭視点

 

この大庭こそが貧乏神

彼ら貧乏神は

人を不幸にさせないように貧乏にすること

そう、池内雅人のように

 

大庭は池内の強すぎる運で

池田自身の身を滅ぼさないために

生まれた時からずっと取り憑いています

池内の言う小吉人生とは

大庭の力によって小吉人生に変えていたのだ。

 

大庭は池内の強運が不幸を招くことを知っていた

大庭は貧しくも幸せな人生を歩んでもらうために

彼に今まで取り憑いていたのです。

 

 

疫病神が微笑む

 

個人病院『森山小児科』に千桂は務めています。

その病院の先生は千桂の

叔父にあたる人物、森山晴行

 

二人の前に自分を疫病神と名乗る和風美人

この和服美人は何のために二人の前に現れたのか――

 

 

動かない道祖神

 

道路誘導員の派遣社員として

八島は働いていた

 

そこへ一人の女子高生が現れた

女子高生から女性物の財布を拾ったが

急いでいるとのことで

代わりに預かり交番に届けることにしました。

 

上がりまで3時間以上あったので

先輩である中道が代わりに交番に届けるという

 

後日落とし主が現れたが

財布の中身に入っていたお金がないというのだ

 

 

ひとりの九十九神

 

グラフィックデザイナーとして働く

向田信也は、ひいばあちゃんの代からあるり

八百万の神が宿っている釜とよく会話をしていた

 

釜が喋れるというのは家族の中でも

信也しか知らない

 

その理由は釜が信也と二人きりの時にしか

喋らないからだった。

 

信也は独り立ちする際に

その釜を持っていくことを決め

神様と信也の暮らしがスタートします

 

数年たったある日

彼女と家で休んでいるとき

父から電話が来る

電話の内容は母が癌になり余命宣告されたとのことだ

 

『心配するな。大丈夫だ』

P.196より

 

釜が彼女の前で

信也以外の人物の前でしゃべった意味とは

 

 

福の神の幸せ

 

坂崎はなぜか周りの人に利用される役回りだった

同じ会社の部長には手柄をとたれ

 

友達に彼氏を取られたことも3回ある

そして、皆判を押したように結婚し

その結婚式の招待状が送られてくるのです

 

そんな人生に悲観した坂崎は

自宅からの自殺を試みる

 

人間はいいですね。凄いですね。

なろうと思えば何にでもなれる」

P.238より

 

 

御蒔け・迷う山の神

 

丸富山の山頂に設置しているカメラは

時報と一緒にシャッターが切られ

写真は山の管理事務所の会社のサイトにアップされる

 

担任の先生が登山好きということもあって

クラスの数名で先生と登山をする企画が立った

 

そこで丸富山のサイトにアップされた写真を

見ていると小学生くらいの女の子が

深夜1時の写真に写っていました

 

しかし、周りは何も言わない

確信した。この少女が見えるのは

自分だけだと。

他の写真にも時間は、ばらばらだが

少女は写っていました。

 

天体観測が趣味の彼は

ちょうど一週間後に流星群が見えるのを知っていた

 

少女が気になって仕方がなかった彼は

皆で深夜に流星群を見に行こうと提案する

皆が流星群に夢中になっている隙に

カメラの前に行き少女を確認するために

 

そして、少女に出会う

彼女は自分を山の神と名乗るのです

そして、彼女は自分がどこへ行けばいいのか

教えてほしいと言います。

 

 

全体の感想

 

小路幸也さんの作品に触れたのは

今作が初めてでしたが

この作品だけなのかもしれませんが

描き方が独特だと思いました

 

登場人物と実際に会話をしている

感覚でよめて

とても読みやすくいつもの倍近いスピードで読めました。

 

すべての神様の十月は冒頭でも説明したとおり

全体的にライトに仕上がっています

何より一つの話が40ページ前後なので

移動時間や昼休みで一つの物語を

読んでしまうことができます。

 

是非気軽に手に取って読んでみてください