国内ミステリー小説

今村 昌弘『屍人荘の殺人』が想像以上に面白いので読んでみて

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鮎川哲也賞で見事1位に輝いた『屍人荘の殺人』が発売されました(いつの話だよ!!)

いやいや、言い訳すると買ったのは発売日で読み終わったのは11月上旬なんですよ!

くだらない言い訳は良いとして早速紹介していきましょう

屍人荘の殺人は2017年に読んだ小説で一番おもしろかったし、いろんな意味で衝撃的でした。

実は、本格ミステリに傾倒していたのではなく、良き本格ファンなどとは口が裂けても名乗れない身なのです。そんな私が「読んだことのないミステリを!」という一念で書き上げた作品

今村 昌弘 受賞の言葉より

作者さんがおっしゃっている通り全く読んだことのないミステリ小説でした。まさに、新感覚といった感じ

読書の傾向は雑多なようで、日常会話などのやり取りがとてもポップで「クスッ」と笑える感じ

それに、主人公である葉村 譲のたまにはく毒がたまらん!!

女性を書き上げる能力も一作目とは思えないほど上手い

頭の中にしっかり顔や仕草が浮かんできて謎の親近感が湧きます。なにより、可愛い///

新人作家らしくないのは文章能力だけではなく

このミステリーがすごい!2018で見事1位と受賞などを含めて3冠を達成!!!おめでとうございます!

今村 昌弘『屍人荘の殺人』

ページを開くとペンションの見取り図

本作で起きた事件の報告書

うん、本格ミステリっぽくて好きです

そして、期待を込めて本編1ページ目へ…

「カレーうどんは、本格推理ではありません」

P.10より

開口一発目がそれかよ!!

読んだ本間違えたと思いました

本作の学生ホームズ役‐明智 恭介(あけち きょうすけ)と

ワトソン役‐葉村 譲(はむら ゆずる)

二人は神紅大学ミステリ愛好家に所属するたった二人の部員で開口一番の謎の言葉は学食に並ぶ女性が何を注文するかを推理していた時の会話です

伝わりにくいかもしれませんがこんな感じに思わず笑えるような会話も繰り広げられています

ストーリーとしては学生ホームズ役の明智がワトソン役の葉村と共に事件解決!!!

ではなく、もう一人探偵役の美少女‐剣崎比留子(けんざき ひるこ)がいるわけです

剣崎は幾多の殺人事件を解決に導いた正真正銘の探偵少女

ミステリにはこんな人は良く出てきますね。

そうでもしないと、殺人事件の解決なんてできないですもん

明智は、同じく神紅大学にある映画研究部が夏にペンションを貸し切って合宿をするという話を聞きつけた

夏、ペンション、男女の若者

ミステリファンが大好きな設定ですね。すぐにでも殺人事件が起きそうな舞台ですから

明智も同じ思考で映研の夏合宿に同行できるか交渉するも断られてしまいます

しかし、剣崎の協力を経て明智、葉村、剣崎の3人は無事に映研の夏合宿に同移行することができました

こうして、映画研究部、演劇部、葉村ら3人を含めた面々で映研夏合宿が紫湛荘(しじんそう)にて幕を開けた

そして、合宿一日目の夜に開催された肝試しの最中に『予想しえなかった事態に遭遇』してしまい紫湛荘への立て籠もりを余儀なくされる

そんな中、部員の一人が密室で残虐死体となって発見される―

ミステリ好きには堪らん

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屍人荘の殺人には節々にミステリ好きには堪らない会話があります例えば

「国名シリーズはクイーン。館シリーズは綾辻行人。では花葬は?」

P.16より

連城三紀彦!!!と叫びたくなりましたが生憎図書館だったので心で叫びました。

他にも

館だの孤島だのペンションだのと聞けば細胞がざわつくくらいには感覚を毒されている。気を抜けば神戸の異人館とか長崎のグラバー邸という何でもない単語にまで反応するほどに。

P.20より

わかる!すごく共感できる!!

ミステリファンの方も共感できる人は多いのではないでしょうか?

こんな感じで、ミステリ好きに堪らない心の声や会話が多くあり、楽しく読み進められました

ネタバレ?

一応、ネタバレになるとは思いますのでなるべく知りたくないという方は見ないことをおすすめします

もちろん、犯人やトリックについては触れるつもりはありませんのでご安心を

では、心の準備は良いですか?

実は先ほど言った予想しえなかった事態というのはバイトテロが原因となりゾンビが大量発生してしまったのです。

しかも、ゾンビが大量発生してしまった場所はペンションから近い自然公園が会場となって開かれているロックフェスで観客もかなり多い。

フェス会場でゾンビに感染した人々が葉村たちの宿泊しているペンションに押し寄せる形になってしまい、ペンション周辺を包囲されたので立て籠もりを余儀なくされてしまったというわけです

あげく、政府側が事態を収拾するため現場近くの隔離はもちろん電波も止められているため電話もできません

ミステリ×ゾンビという組み合わせは想像以上に面白い

では、なぜ見出しにネタバレ?を付けているかというと『屍人荘の殺人』というタイトルの“屍人”でゾンビが出てくることは容易に想像できてしまうからなんですよ

購入時に屍人という文字を見てゾンビが出てくることは想像していました。しかし、そこにミステリ要素を加えることでここまで面白くなるとは…

まあ、ゾンビが出てきただけじゃ正直何とも思いません

その要素のみならずトリックなどの本格ミステリ要素もかなり面白いのでそのあたりは是非読んでみてください

この状況での密室殺人

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犯人は誰も想像しえなかった事態

周りはゾンビに囲まれペンションの一階も占拠されてしまいます

ゾンビが周囲を占拠している時点で一種のクローズドサークル状態

さらに、政府が電波を遮断しているため外部との連絡も不可能

まさに、絶体絶命です

その状況下で犯人は犯行に及びます。

犯人からしてもこの事態は予想外にも関わらず神がかり的な機転で本来の殺人計画よりも巧妙なものに仕上がります

屍人荘の殺人を読んだ方のほとんどは二人目の殺害方法が好みだと思います

他にもベストな殺害方法があったのにあえてエレベーターでの殺害に固執したのかというアンサーが素晴らしいの一言に尽きます

犯人の常軌を逸した思考それを述べた犯人の表情、周囲の呆気を取られた顔、周りの情景などがすんなりと頭に入り込みゾクッとしました

おわりに

鮎川哲也賞の作品はいくつか読ませていただいていますはここまで自分好みの作品ははっきり言って初めてでした。

しかも、作者の今村さんは屍人荘の殺人がデビュー作という事もあり2作目にもかなり期待できます。

犯人がなぜこの状況下に犯行を決行したのかという点にも注目しながら読み進めて頂くとより一層楽しさが増すと思います。

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