はいどうも、いつものごとく山田絵日記です(‘ω’)ノ
今回紹介させていただく本は、〈望公太〉さんの『最悪探偵』です!!
『異能バトルは日常系のなかで (GA文庫)』や『ラノベのプロ! (ファンタジア文庫)』でお馴染みの〈望公太〉さんが書くミステリーが『最悪探偵』です!!
『最悪探偵』は3編構成の連作短編形式なのですが、それにしても『最悪探偵』とは非常にシンプルなタイトルをつけましたね。
だって、どのお話を読んでも気持ちが良いくらい最悪なんですもの
まあ、その話は後にするとして…
昨今のミステリー界隈では『私は犯人に興味などない。謎が解ければそれでいい』みたいなクールで知的好奇心だけ旺盛な探偵を割とよく見かけるのですが
んじゃその真逆の探偵書いたら面白いんじゃね?
という考えで書いたのが今作になります。
『最悪探偵』あとがきより引用
いや、本当によくこんな面白いキャラクターを作ってくださったと思います。
トリックなどに全く興味を示さず、ただひたすら犯人にのみ狙いを定めていくスタンスの探偵は本当に新しい!!
最悪の2文字が相応し探偵

『最悪探偵』の探偵役・〈南陽〉には“最悪”という言葉がよく似合っているんですが
普通、最悪と感じる人間に対して「関わるのすらいやだな~」、「近づくのも…」と自然と考えると思いますが
本作に限っては全くそんなことはありません!!
むしろ、「もっとやれ!!」とか応援したくなるようなキャラクターが〈南陽〉なのです( *´艸`)
捕まることに怯えた犯人を、あるいは捕まるはずがないと高をくくっている犯人を、おちょくり、甚振り、詰り、罵り、嗤い、徹底して追い詰める、無慈悲に糾弾することを至上の愉悦とする。
p.11より引用
今までにこんな「最悪」と言いたくなるような探偵がいたでしょうか??
さらに、本書に収録されている最初のお話『ベタベタなギミック』では、「青酸カリ」を用いた事件だったのですが、その現場で〈南陽〉はベタすぎると大爆笑。
「あははっ…くくくっ。殺される奴も殺される奴だけど、殺す奴も殺す奴だ。
よりにもよって青酸カリを選ぶとは…頭の悪そうな犯人だなあ。
フィクションの影響受けまくりの、救いようのない馬鹿だ。やれやれ、殺人事件と聞いて喜び勇んで現場にやってきたのに、そんな馬鹿が相手とは萎えるなあ」
p.35より引用
現場には被害者の関係者がいるのにこれである。
他にも「最悪」と言いたくなるようなシーンが多くあるのですが不思議と不快感はなく、爽快感すら覚えるのです!!
よくこんなキャラクターを生み出せてと思いますよ。
読んでいる読者に不快感を与えず、いや、逆に爽快感すら与えてくれる〈南陽〉。大好きなキャラになりました。
最悪探偵は探偵としては優秀なのだ!!
〈南陽〉は探偵としてとても有能。
冒頭でも言ったように彼は「トリックになど興味がなく、犯人にのみ狙いを定めている」のです。
本格などでよく見かける、「謎が解けたから容疑者を集めて推理ショー」などしません。
犯人を捕まえるまでのプロセスを最大限にショートカットして犯人を捕まえる。それが〈南陽〉なのです!!
ミステリーでは反則的なショートカットを使うことにより、事件をスピード解決!!
どんなショートカットなのかというのは、本作の楽しみを半減させることになるため読んでからのお楽しみということでm(__)m
ヒントを出すなら、謎を解くことが大好きな本格ミステリー好きが読めば本を投げ出したくなるでしょう。
私も本格をメインで読んでいるのですが、その分ラノベも読んでいるため普通に楽しめました。
『最悪探偵』に収録されているお話
最後に『最悪探偵』で収録されているお話をサクッと紹介していきます。
ベタベタなギミック
昭和探偵事務所の事務員兼探偵見習いの〈早乙女桃色〉は浮気調査の依頼料の受け取りのために保土原クリニックへ
保土原クリックの事務所に到着し、ノックした後扉を開くと、ほんわりと甘酸っぱい匂いがしました。
そして、〈桃色〉の視線の先には、〈保土原長生〉がなくなっていたのです。
感想
先程も言ったように、青酸カリが使用されるというかなりベタベタな設定です。
〈南陽〉が犯人を捕まえるために使ったとあるショートカットを最初読んだときは驚きでしたが
同時に「やばい、この作品ハマるかも」と感じるくらい、キャラが立っていて、世界観に引き込まれました。
メタメタなホリック
新人アイドル〈ニーナ〉が最近ストーカー被害に悩まされているとのことで、昭和探偵事務所に依頼が入ります。
調査でたどり着いたのは1人の過激なファン。
犯人はこのファンなのかと安定のショートカットで解決するも、実は真犯人が、、、
感想
なんというか、ミステリーを読みなれているので、誰が犯人で、真犯人が誰なのか
もっと言うと、なぜそれをそうしたのか。などなど結構序盤で謎は解決できました。
しかーし、本作ではそんなことはどうでもいいのです!!
〈南陽〉のミステリーにおいて反則的なショートカット。これが読みたいのです!!
本書を今から読む方はくれぐれも、「これは小説ではなくラノベである」ということは頭に入れておいてくださいね(*^^*)
ネタネタなトリック
あ、言い忘れていましたが、〈南陽〉は探偵が本業ではなく、作家が本業なのです。
そして、このお話での舞台は〈南陽〉の作品が出版されている出版社の記念パーティー。
そのパーティーに出席している作家の1人〈旭川朝日〉がホテルの一室で亡くなっているのを発見。
〈朝日〉の右手の指の先にはあるダイイングメッセージが…。
感想
今どきのミステリーではダイイングメッセージなんてほとんど見なくなりましたが、まさかこんなところでお目にかかれるとは!!
正直この話は事件はどうでもよくって、作者の犯罪への考え方が素晴らしいと思ったお話でした。
日本は犯罪者に優しすぎる…。
確かにその通りです。今回の事件はその優しさを逆手に取った見事な事件でした。
おわりに
そうそう、『最悪探偵』の表紙を描いたのって『ブラックラッド』で有名は〈小玉有起〉先生が描いたんですよ!!
あのイラストで描かれる凶悪な表情は鳥肌者ですよね(≧▽≦)
本作『最悪探偵』はミステリーラノベとして非常におすすめの1冊。
「本格ミステリーは堅苦しいイメージあるからちょっと…」(実際はそこまで堅苦しくないのですが)
と、読むのを躊躇している人にはかなり合っている作品だと感じました!!