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有栖川有栖『ロシア紅茶の謎』-密室、暗号、読者への挑戦状…まるでミステリーの宝石箱!!

有栖川有栖『ロシア紅茶の謎』

 

この本のポイント
  • 「国名」シリーズの記念すべき第1冊目
  • どの短編もハイクオリティでフェアな謎解きが展開されている
  • 密室、暗号、ダイイング・メッセージ、読者への挑戦状とおおよそのミステリーの醍醐味を1冊で堪能できる

皆さんこんにちわ、山田絵日記です(‘ω’)ノ

 

今回は「国名」シリーズの1作目。有栖川有栖さんの『ロシア紅茶の謎』を紹介していこうと思います。

《この本のポイント》でも言ったように本作は、密室、暗号、ダイイング・メッセージ、さらには読者への挑戦状とバラエティに富んだ短編が6つ。

どの短編も傑作だったと自信を持って言える作品ばかり。

 

最後の最後に「やられた!」というようなどんでん返しは使われていないものの、「あ~なるほど」と感心するものが多いです。

さて、前置きが少し長くなりましたが早速どんな短編たちが収録されているのか、あらすじと感想と共に見ていきましょう

有栖川有栖『ロシア紅茶の謎』


まずは収録作品のタイトルをご紹介

  1. 『動物園の暗号』
  2. 『屋根裏の散歩者』
  3. 『赤い稲妻』
  4. 『ルーンの導き』
  5. 『ロシア紅茶の謎』
  6. 『八角形の罠』

以上の6編です。

 

この6編のほとんどに本格ミステリーではお馴染みの密室や暗号が用いられているとは、マニアとしては嬉しい限り( *´艸`)

『動物園の暗号』

大阪府立阿倍野動物園の夜間飼育員として勤務していた太田善治(おおた ぜんじ)が何者かによって撲殺されていた。

遺体の状況からみて不注意の事故とは考えにくい。

なぜなら被害者の手には暗号と思われるメモが握られていたからだ。

 

不規則に並べられた文字に記号が数個。

事件解決&暗号解読を目指し、火村英生(ひむら ひでお)とその助手ということになっているある有栖川有栖(ありすがわ ありす)が捜査を開始する。

 

さて、この暗号が意味するものは?

感想

初手からとてつもなく壮大かつ難解な暗号が収録されているとは。

いくら伏線がびっしり張り巡らされていたとは言えこのレベルの暗号を解読することが出来るのは、もはや火村さんだけなのでは?

私はこの短編で使われていた暗号を決して忘れる事はないでしょう。その位素晴らしく美しい暗号でした。

『屋根裏の散歩者』

近頃巷を騒がせている長い黒髪の女性ばかりを狙った連続殺人事件。

被害者の情報があやふやなこともあり捜査はかなり難航していた。

 

一方、女性連続殺人事件の現場からほど近いアパート・ハッピーコーポで家主の五藤甚一(ごとう じんいち)氏が殺害されてしまった。

五藤氏の自宅からは奇妙な日記が…

「そこには五藤甚一の奇妙な日記が綴られていました。彼は、屋根裏を歩き回り、節穴から住人の暮らしを覗き見して喜んでいたというんですよ」

p.82より引用

彼は屋根裏から住人の暮らしを覗き見するという変わった趣向の持ち主だったのです。

 

驚くことにその日記では女性連続殺人事件の犯人の正体までもが綴られていた。

つまり、ハッピーコーポの住人の中に黒髪の女性を次々に襲い、五藤氏を手にかけた犯人が居るという事。

 

日記を発見したことで事件は一件落着…

というわけはなく、日記には住人の実名は書いておらず、五藤氏が決めたニックネームのみで書かれていました。

 

ニックネームを解き明かすことが2つの事件解決への近道。

お馴染みのホームズ&ワトソンコンビは事件を解決に導けるのか。

感想

ほうほう、2編続けて暗号ものですか。

実際、1編目ほどの衝撃度はありませんでしたが、まさかアレがダイイング・メッセージになっていたとは盲点でした∑(=゚ω゚=;)

『赤い稲妻』

とある雨の日、ジェニファー・サンダースは自宅のマンションから転落死した。

サンダースの向かいのアパートに住まう大学生の証言では「ベランダで誰かともみ合いになり転落した」という証言が。

しかし、犯人が現場のマンションからサンダースを転落させた後逃走することは不可能。

なぜなら、現場は完全な密室だったのだから…

 

さらに、現場マンションから車で20分ほどの踏切で車が脱輪し、田宮律子(たみや りつこ)が事故死したとの連絡が…。

この2つの事件の捜査線上に浮上してきた人物・田宮孝允(たみや たかよし)は一体何を知っているのか。

感想

最初は事故か他殺か、の事件からどんどん謎が深まりまさかのラスト。

まさに謎が謎を呼ぶ作品といった短編でした。

 

見所は、火村が犯人理論的にをグイグイ追い詰めていく描写です。

…あれは、鳥肌もの。

その現場に居合わせているかのような緊張感、一言一言グサッと刺さる火村の言葉。

すべてが完璧でした!!

『ルーンの導き』

火村と同じ大学に勤務するイギリス人講師のジョージ・ウルフが嵐山のログハウスで殺人事件に巻き込まれた。

「ヒム(火村の愛称)は警察に知り合いがたくさんいるからぜひ来てほしい」ということで急いで嵐山を訪れた火村。

 

刺殺されたのは、アメリカ人のサイモン・リー。

サイモンはルーン文字が刻まれた石を4個握りしめ絶命していた…。

4個のルーン文字が表す意味とは?

感想

感想にはいる前に「ルーン文字ってなんぞや?」と思うかもしれませんので軽くイメージだけでも…

おおよそアルファベットの親類のような形をしており、H、I、M、Xと酷似したものや、B、P、Rから丸みを取って角張らせたようなものがある。

p.171より引用

まあ、基本的にアルファベットに似た文字。という認識で大丈夫です。

 

火村の下宿先を訪れた有栖川が「何か面白い話があれば聞いてやるよ」と振る舞い事件の話をするわけです。

個人的には火村と有栖川がたまに見せるこのやりとりがたまらなく好きなんですよね(*^-^*)

 

話の筋を戻して…

このお話に関しては収録作品のなかで一番フェアな短編という印象。

ある程度注意深く読めば事件の真相までたどり着けてしまうので皆さんもぜひチャレンジしてみてください(^^♪

『ロシア紅茶の謎』

年忘れのパーティーの最中に作詞家・奥村丈二(おくむら じょうじ)が亡くなった。

死因は青酸系の毒物。

 

パーティーの参加者は丈二の妹以外恋愛関係などで一悶着あり少なからず被害者は恨みを買っていた。

厄介なことに、毒物を何かに入れる機会はその場に居合わせた者にはなく、捜査は手詰まり。

果たして犯人はどのようにして毒を盛ったのか。

感想

…ああ、悔しい。

私は某探偵アニメでこのトリックを一度見たことがあったようです。

そのことに気付いてしまってからは頭の中に「バーロー」って声が永遠と……

 

『赤い稲妻』と同様に犯人を追い詰める火村。

やはりあの緊張感はクセになります。

特に最後の一文字の切れ味が鋭くしばらく頭から離れない。

 

バーロー。なぜ私は最初に某探偵アニメを見てしまったのか。

それだけが悔しいですが間違いなくこの短編は傑作です。

『八角形の罠』

有栖川有栖が原案を務めた推理劇『八角形の殺人』の練習を見学しに来た火村と有栖川。

しかし、主演の劇団員が急に「この劇団を脱退する」と言ったことを皮切りに劇団内でもめ事が起きてしまった。

 

もめ事が収まるまで席を外しているよう頼まれた2人はロビーに腰を掛けていると劇団員の居る部屋のみの電気が消え、次の瞬間には劇団員の1人が毒殺されていた。

どうやら被害者の襟元には蛍光塗料が塗られており、それを目印にして暗闇のなかでも正確に毒を注射したようだ。

 

この劇団には脱退問題以外にも恋愛、借金などの問題もあり複雑な人間関係を抱いていたようだったが、どれも殺人に結びつくような問題ではなかったという。

 

さらに犯人は大胆にも警察と火村の目前で2人目の殺害を決行。

今度は煙草に毒をもって吸わせたようだった。

犯人の目的は一体…。

感想

暗号から始まり、ダイイング・メッセージ、密室。

最後の短編でようやく読者への挑戦状がきました!!

 

トリックに関しては「そんなのありなのか?!」と思いましたが挑戦状内でヒントは出してくれていますのでアンフェアというほどでもありません。

私レベルでも犯人は当てられたのでみなさんはぜひ完全回答を目指して頑張ってください♪

『ロシア紅茶の謎』のマイベスト3

非常に濃厚な6編が収録された『ロシア紅茶の謎』。

私のなかの基準点を大幅に超える作品が多くマイベストの短編を決めるのはやや難しかったのですがようやく決まりました。

私のマイベストは…

1位 : 『ロシア紅茶の謎』

2位 : 『八角形の罠』

3位 : 『動物園の暗号』

これが『ロシア紅茶の謎』のマイベスト3です!!

 

「いやいや、山田さん、『ロシア紅茶の謎』(短編の話)の感想の時にトリックが何とか言ってたよね?」

ええ、言いましたがそれでも面白いのは間違いありません。

 

『ロシア紅茶の謎』(本1冊での話)は数あるミステリー短編集の中でもかなりの粒揃い

本格ミステリーファンなら一読の価値ありですよ♪

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