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篠原昌裕『璃子のパワーストーン事件目録 ラピスラズリは謎色に』-天然石が解決のカギとなる希少なライトミステリー

 

篠原 昌裕(しのはら まさひろ)

『璃子のパワーストーン事件目録 ラピスラズリは謎色に』

読了しました

パワーストーンを題材とした短編集で

かなり興味深かったです

 

篠原昌裕さんは『保健室の先生は迷探偵』で“このミス”隠し玉作品としてデビュー

『死にたがりたちのチキンレース』を経て

今作『璃子のパワーストーン事件目録』が三作目

 

篠原 昌裕『璃子のパワーストーン事件目録 ラピスラズリは謎色に』

 

 

パワーストーン雑貨店「ミネラルズ」でアルバイトをする女子大学生の璃子

璃子の兄である英介は鉱物学者で重度の石好き

そして、璃子の通う大学の准教授を務めている

 

璃子の周りで起こる奇妙な事件を

英介の鋭い観察力と石の知識で怪事件を解決していくお話です

 

パワーストーンが事件解決のカギとなる5つの作品を収録した短編小説

 

『砕き魔ロード』

 

映画製作サークル「ムビーン」の構成メンバーの一人が目撃した四つん這いで何か石のようなものを叩き割る人影

同じく「ムビーン」メンバーが目撃したという

講堂のガラス壁を破壊したという不審者

守衛が第一発見者であるガラス瓶が割られていた現場

 

この奇妙な三つの事件が連続したことから

“砕き魔”として大学で噂になった

 

この砕き魔は誰なのか、璃子と英介が見た意外な結末とは―

 

というのが大まかなあらすじです

 

一発目からこんな事件を書いてくるとは…

かましてきますねぇ

全体的にすらすら読める感じの小説が好きなので

かなりストライクの物語

 

菱マンガン鉱。

「薔薇色の石」という意味で、英語名は「ロードクロサイト」。南米を中心に採れ、特にピンクと白の縞模様が美しいものは「インカの薔薇」、「インカローズ」と呼ばれる。パワーストーンとしては、安価でメジャーなローズクォーツよりもパワーが強い恋愛成就の石と言われたり、薔薇色の人生を象徴する石と言われたりして、人気も市場価格も高い。

P.61より

 

『ラブラドライトな予知夢』 

 

璃子の大学の友人で姫子というオカルトにかぶれた面倒な女の子がいた

しかし、璃子にとっては大事な友人で無下にできないでいました

 

そんな姫子は近いうちに璃子に悪い何かが起こる予知夢を見たと言い出し、数日間璃子の私生活に付きままといます

 

そんな姫子に怒りのパラメーターが限界に達した璃子は言葉を選ばず捲し立てた

 

しかし、姫子が璃子に付きまとっていたことには“ある理由”が大きく関わってきます

その理由を璃子と英介が解決していく

 

ってのが短編の一通りの紹介です

 

まさか、人が死なずに、それどころか怪我一つないのに

こんな面白いトリックに読めるとは…

 

篠原昌裕先生に脱帽です

 

「ラブラドライトって、曹長石と灰長石の成分からできた固溶体なんだ。内部に屈折率の違う層が規則正しく重なり合っていることで、光の干渉が起こり、角度によって暗灰色に見えたり、青色や虹色に見えたりする

P.107より

 

『アクアオーラバーズ』

 

璃子にとって、涼子と森野は特別なカップルだ

 

どうしても、二人が両想いにしか見えなく

友人である涼子にパワーストーンのブレスレットをプレゼントすると、そのブレスレットに背中を押されるように涼子から森野に告白し無事に恋仲の関係になっていました

 

要は、璃子は二人の恋のキューピット的なやつです

 

そんな二人がある日突然大学の学食内で喧嘩してしまいます

理由は森野の親とは仲が悪いので合わせられないという嘘が発覚したのが原因

 

だが、森野にはとても重大な秘密が隠されていた―

 

ネタバレにつながるので深くは言えませんが

自分の偏見について深く考えさせられました…

そして、篠原先生の懐の深さが垣間見える物語になっています

 

アクアオーラとは、透明な水晶に加熱してイオン化した金を真空蒸着させることで鮮やかなブルーに輝くようになる石だ。

P.158より

 

『消失オルゴナイト』

 

最近、璃子の勤める店に来ては何も買わず出ていく少女がいる

少女が店を出ると決まって店の商品がなくなっていました

 

璃子は万引きの線を疑い、少女の構成を目的とし、現行犯で捕まえることを決意します

 

その、万引きの裏にある真実とは

 

まずは、万引き犯を捕まえる“ある仕掛け”を称賛したいです

 

はっきり言って、誰でも思いつきそうとは思いましたが

それが実際にできるのかを

篠原先生は検証して可能だったので作品に出てくるトリックを採用しています

 

璃子が弥生に制作を依頼されたのは「オルゴナイト」と言う小物雑貨だ。

俗っぽい言い方をすれば、開運インテリア雑貨。もっとスピリチュアル寄りの説明では場のエネルギーを調整する循環装置などと言う人もいる

P.184より

 

『ウォーターメロントウルトラマリンパーティ』

 

この夏璃子が恋した男性、航

航の今の彼女である貴子は、璃子の思いを薄々わかっているが、璃子と英介を自宅で開催するホームパーティに招待します

 

そこで事件が発生

 

犯人は、璃子たちを睡眠導入薬で眠らせると

貴子の頭部を鈍器で殴る

被害者は命こそ無事だったものの意識不明となってしまいます

 

刑事事件で殺人未遂として捜査は進んでいきます

航の「自分かもしれない」と言う供述から

事件の最重要人として拘束された―

 

芸術家の苦悩がとても鮮明に描かれているというのが感想でした

 

やはり、最後の話という事もあり

用いられたトリックは“素晴らしい”の一言です

篠原さんの作品は『璃子のパワーストーン事件目録』が初めてですが

もっと読みたくなるような物語

 

香が持っていた指輪は、ウォーターメロントルマリンというピンク、白、緑の三色で構成された貴石の高価な指輪だという。

P.243より

 

ここからが本番『璃子の夏休み』

 

実は、『璃子のパワーストーン事件目録』には

全5つの短編の最後に10ページから20ページほどにわたり

<璃子の夏休み>なるものが書かれています

 

先程、さらっと言いましたが

璃子は航に告白を決意するも事情があり振られています

ミステリーとは別に失恋の悲しみなども味わえるなんて一冊で二度おいしい

 

まあ、大雑把にではありますがあらすじを少しご紹介していきますね

 

「ごめんもう、璃子さんとは会えない」

そう言われたのは、璃子が告白を決意して翌日のことだった

 

航との出会いは、否、再開したのは英介が鉱物・鉱床巡りをしていて、家を空けている夏休みの時期だった

 

その日に航が泥酔しているところを発見し、保護した

璃子にトラウマを植え付けている“ある出来事”に何やら深く関係しているようだ

 

璃子は航との関わりを断ち切りたくなく

無理やり丸め込み心理カウンセリングのクライアントモニターと称し再び会う日取りを決める

 

航にとって璃子との初対面

璃子にとって航との再会

二人の少しミステリアスな関係が動き出す―

 

と、これがあらすじです

璃子の夏休みは、毎回物語の終わりにあるのですが

続きが気になって仕方がなかったです

 

「青春してるなー」なんて考えながらも失恋の悲しみを味わえる内容です

 

さいごに

 

人が死なないミステリー小説がこんなにも面白いと感じたのは初めてです

流石は、このミス隠し玉に選ばれた作者が手掛ける作品

 

トリックもすべて現実的に可能です

特に最後の話には正直度肝を抜かれました

 

よろしければ是非読んでみては?

 

では、皆さん良い読書ライフを(・ω・)ノシ

 

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