似鳥鶏さんをご存知ですか?
『理由(わけ)あって冬に出る』で第16回鮎川哲也賞で佳作入選。
その後、翌年に同作でデビューを果たしています。
似鳥鶏さんの作品はどれもユニーク。キャラクターの掛け合いのテンポも良く、まるでライトノベルを読んでいるかのような感覚で読めます。
そして、何より似鳥鶏さんの作品で「パッと」見て最も目を引くものはそのタイトル。
書店で品定めしているときに「なんだあのタイトルは…?!」とあるようなものが多くみられます。
というより、私が初めて似鳥鶏さんを知るきっかけがまさにそれでした!!
そんな目を引くタイトルですが、中身のユニークさはその上を行きます。
そこで今回は似鳥鶏さんのおすすめの作品を5作品紹介していきたいと思います。
この記事皆様の読書の際の参考になれば幸いです<(_ _)>
1.『理由(わけ)あって冬に出る』
トリックは自体はそこまで目新しいものでは無いのですが、色々な出来事が積み重なり、それがある途端一つに繋がる感覚がとても好みでした。
芸術棟にフルートを吹く幽霊が出ると噂が流れ、送別演奏会を控えた吹奏楽部の部員たちが怯えて練習に参加できなくなってしまった。
そこで、吹奏楽部の部長から一連の事件を解決してほしいと「にわか高校探偵団」に依頼する。
探偵団が解明した騒動の真相とは?
という、表紙から予想できる通り本作は誰も死なない「日常系」ミステリー小説。
文章はあくまでコミカルに、しかし内容はミステリー小説としてかなりしっかり作り込まれています。
なにより、この手の幽霊が絡んだミステリーのラストは非現実的なものが多のです。
ですが、本作は実際現実でありそうな展開に。
似鳥鶏さんの作品でどれを読もうかと悩んでいるのならとりあえず本作を読むことを強くおすすめしたいです。
本作は「市立高校」シリーズとしてシリーズ化しています。
なので読む順番だけをサクッと紹介
芸術棟に、フルートを吹く幽霊が出るらしい―吹奏楽部は来る送別演奏会のため練習を行わなくてはならないのだが、幽霊の噂に怯えた部員が練習に来なくなってしまった。幽霊を否定する必要に迫られた部長に協力を求められ、葉山君は夜の芸術棟へと足を運ぶが、予想に反して幽霊は本当に現れた!
2.『戦力外捜査官 姫デカ・海月千波』
さて、ここから犯人をバッタバッタ逮捕して活躍してやるぞ!
しかし、配属からわずか2日で戦力外通告⁈
設楽恭介刑事と独自に捜査を始めた連続放火事件を追ううちに、7年前の幼女殺人事件に辿り着く。
2人は事件の真相を解き明かすことができるのか…?
TVドラマ化もされていて、一般的に似鳥鶏さんの作品で一番知名度がある作品ではないでしょうか。
設定もキャラ同士の掛け合いもラノベ風でテンポ良く、軽いノリで展開。
いくら、キャラがラノベ風とは言っても内容は本格ミステリー。
本作のあのラストは舌を巻きました。大変素晴らしいかった。
警視庁捜査一課、配属たった2日で戦力外通告!? 連続放火、女子大学院生殺人、消えた大量の毒ガス兵器……
3.『迷いアルパカ拾いました』
時同じくして、アイドル飼育員である七森さんの友人が失踪。
迷いアルパカと七森さんの友人失踪事件はなにか関係性があるのか?
また、迷いアルパカはどこから来たのか?
動物園ミステリーこと、「楓ケ丘動物園」シリーズ第3作目。
シリーズの中でも最高傑作ではないかと思うほどの完成度の高さ。
テンポよく「サクサク」進む文章、頭のねじが飛んでいる濃いサブキャラ、それとは正反対の少し地味な主人公。
どれをとっても似鳥鶏ワールド全開です!!
これはシリーズ全体に言えることなのですが、似鳥さんの動物描写すごすぎませんか?
文章だけで、動物の質感がすぐに分かりますし、何よりかわいい(●♡∀♡)
過大評価とかではなく、”本当に目の前に動物がいて触れている”ような感覚…。
いくら本作がシリーズ中最高傑作である。といってもそれは前2作があるから。
なのでしっかり順番よく読みましょう♪
というわけで、例のごとく順番をまとめていきます。
「ちょっとここで、アルパカ拾いまして」―楓ケ丘動物園のアイドル飼育員・七森さんの友人が失踪した。行方を探る鍵はアルパカ?ハムスター?それとも…
4.『レジまでの推理 本屋さんの名探偵』
納品してきた本をバラし、コミックなどについてくる付録を組み、並べてあげるための本棚を作る。
レジはもちろん売り上げを伸ばすためにPOPも作らなくてはいけない。
万引きに目を光らせ、場所によってはサイン会の日程調整、近刊のゲラ読み…etc
忙しすぎ(/ω\)
加えて彼らはお客様から謎すぎる悩みが寄せられる。
本にまつわる謎を鮮やかに書店店員さんが解決!!
…似鳥さんが良い意味で期待を裏切ってくれました。
さまざまな場所に小さな伏線が張られていて、読み進めるうちに「あそこか!」と思い当たる。
本の数秒でも読むのをやめさせてくれない圧倒的な文章力。
つまり、今回も似鳥ワールド全開でした。
本作を読んでいるとついつい「あ、うちが通っている本屋さんもこんな謎解きしてるんかな~」と妄想をしてしまいます。
それに、店員さんの忙しさを忠実に表現しているので「店員さんいつもありがとうっ!!」という思いがこみ上げてきます。
矛盾しているようですが本が読みたくなる本でした。
書店員って、いったいいつ寝るの?力仕事でアイディア仕事で客商売。書店員は日夜てんてこ舞い。しかも、彼らは探偵という特殊業務まで楽しげにこなしてしまうのです。
5.『叙述トリック短編集』
叙述トリックとは、巧みな文章で、作中の人物ではなく読者を騙すトリック。
例えば、登場人物の性別や国籍など。
この技法はミステリー小説が好きな方でも賛否両論あるのではないでしょうか?
なぜ賛否両論あるのかは簡単。つまり後出しじゃんけんだからです。
ならば、最初に「この作品に収録されている短編はすべて叙述トリックを使っていますよ」と読み手に最初で言ってしまえ。という短編集です。
しかし、問題は最大の仕掛けを先に公言して果たしで読者を騙せるのか。という点。
マジックで言うならば、タネを観客に教えた後でそのマジックを披露するようなものです。
ですがご安心を、似鳥さんはタネを披露してもなお私たちを騙してくれました。
それも完ぺきなまでに…。
読み始めて「タネが分かっているのならすべての短編の謎を解き明かしてやる」という気持ちでいざ読書タイムスタート。
結果は完ぺきに溶けたのは1編だけ…。
他は、部分的に分かっても詳細までは全くでした((+_+))
皆さんは何作の謎を解き明かせますか?
おわりに
似鳥鶏さんのおすすめの作品を紹介してきましたが、いかがでしたか?
どのお話もユニークでサクサク読み進められるので、気軽に漫画気分で読むことができますよ♪
皆さんも気になったら1作でもいいので参考にしてください。