『人間じゃない 綾辻行人未収録作品集』はファンには最高一冊

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綾辻 行人さんの『人間じゃない』を読了しました。

 

このタイトルに、この表紙

そして、著作者が綾辻さん。

もう、面白いでしょ!!

 

表紙をよく見てみると

綾辻行人未収録作品集と書いていますね

 

本書は、綾辻さんが30年間単独名義で発刊している作品の未収録作品なのです。

 

私は綾辻さんの作品をすべて読んでいるわけではありません

 

本作でも、2作品ほど未読の作品がありましたが

それでも、面白い!!

 

とにかく、綾辻ファン必読の一冊になっています。

 

綾辻 行人『人間じゃない』

 

 

本書は、中編、短編を合わせて5編を収録した作品集です

収録されている作品は

 

1.『赤いマント』

2.『崩壊の前日』

3.『洗礼』

4.『蒼白い女』

5.『人間じゃない――B〇四号室の患者――』

 

以上、5編が収録されています

 

どの作品も本当に面白かったのですが

2.『崩壊の前日』と4.『蒼白い女』は

20ページほどの短編であらすじを書こうにも核心に触れてしまいそうなので

 

今回は、残りの3つの中編のあらすじを紹介していきます

 

『赤いマント』

 

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綾辻さんと言えば“館シリーズ”

 

本作は、その“館シリーズ”の一つである

人形館の殺人』の後日譚に当たるお話です

 

道沢 希早子と架場 久茂の二人を探偵役にした

綾辻さんの作品の中でも珍しく普通の推理小説(失礼。)

 

近頃若者の間である噂が話題になっている

それが赤いマントです

 

学校や公園のトイレにどこからともなく

「あかーいマントをかぶせましょうか」と男とも女ともつかない掠れ声が聞こえてくるとかこないとか…

 

まあ、別に幽霊や妖怪、ましてや痴漢というわけでもなく

口裂け女的な噂が話題になっているわけです

 

しかし、この噂は変な声が聞こえるだけの悪ふざけというだけではなく

まだ、続きがあるらしい

 

「うん。―『赤いマントをかぶせましょうか』って訊かれて、そのときにもし『いいえ』って答えたら声はぴったりやむんやけど、ほっとして外へ出ようとしたら、トイレのドアが開かへんの。

 

押しても引いても、ぴくともせえへんて。

 

困っているとまた、『赤いマントをかぶせましょうか』って、同じ声が訊いてくるん。

 

そこでじっと黙ってたら、そのうちすんなりドアは開くんやけど、うっかり『はい』って返事してしもうたら―」

 

(中略)

 

「そしたら、身体中からいっぱい血ぃ流して、死んでしまうって。

 

針で刺したみたいな傷がそこら中にできて、噴水みたいにぴゅうぴゅう血が噴き出して、真っ赤になって…

 

それで、『赤いマント』なんやて。―(後略)」

 

p.10.11より引用

 

 

赤いマントめっちゃ、おっかないやん!!

 

できれば出会いたくない類のやつですね。

 

ある夜、希早子の帰宅途中公園で

ばったり由紀に出会う

 

由紀はどうやら公園のトイレに行きたいらしが

近くのトイレは公園の公衆トイレのみ…

ここで、頭によぎるのはあの噂『赤いマント』…

 

所詮は噂だと希早子が言い聞かせたが

怯える由紀に、「なら私が見張っててあげる」と早希子

そして、二人は公園のトイレへ

 

最悪なことに、噂通り「赤いマントをかぶせましょうか」という掠れ声が…

 

パニックになる二人。

なかなか開かないドア。

 

やっと開いたと思ったら早希子の目の前に

真っ赤に染まった由紀の姿が…

 

この謎に挑むのが早希子と久茂

誰が、なぜのこのような事件を引き起こしたのか!?

 

『洗礼』

 

収録されているお話の中でこの話が一番好みでした

 

本作は、犯人当て作品集『どんどん橋、落ちた』の番外編

5話で終わりと決めていたらしいのだが、本書『人間じゃない』で再び復活

 

あとがきに、再び書いた理由が綴られているのですが

あまりのエピソードに少しうるっときました。

 

あとがきを踏まえて読むと少し違った観点から読めるかもです。

 

僕(綾辻行人)のもとに一冊のノートと手紙が送られてきた

 

そのノートに記されていた小説が『洗礼』

 

K大学の推理小説愛好会で月一回のペースで行われている “犯人当て”ゲーム

 

そのゲームは拒否権がなく一回生の「ぼく」も例外なく挑むことに

 

必死で書き上げた小説『YZの悲劇』

 

内容は、ある大学生のバンド「YellowZombie/イエローゾンビ」のメンバーの一人が殺害されたというもの。

 

死体は、ギターの五弦と六弦だけを掴んでいた

被害者が残したダイイングメッセージが意味するものとは

 

もちろん、お馴染みの読者への挑戦状もあります!!

 

小説の中で小説が小説を書くとややこしい設定と私の語彙力の無さで、伝わりにくいと思いますが

 

まじで、この話が面白いです!!

個人的に、本格ミステリーの変化球はどストライク!!!

 

『人間じゃない――B〇四号室の患者――』

 

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フリークス』の番外編ではありますが

もともとは漫画が原作であり、「漫画だからこそ成り立つ仕掛け」をどうやって小説で成立させるかという点が難題だったそうです。

 

ぼくの叔父が所有していた別荘「星月荘」

そこに、ぼくを含めて男女4人で泊まりにやってきた

 

「星月荘」は地元では有名な別荘

要は、出ると有名らしい

 

地元の人から「お化け屋敷」と呼ばれているとか

 

いざ、お泊りが始まり夜になると

一緒に来た由伊がなにかに怯えている様子

 

心配になり聞いてみると

 

「幽霊、怖いの?」

と、桜子が訊いた。由伊は何とも答えずにうつむいていたが、しばらくして―。

 

「人間じゃないものが、いる」

 

ゆっくり顔を上げ、かすかに震える声でそう訴えたのだった。

 

p.196より引用

 

 

どうやら、この中にいる人間じゃないものに怯えているようだった

 

ぼくがなだめて

一番厳重に施錠できる部屋で寝かせることに

 

しかし、由伊は完全な密室の中で

しかも、ありえない姿で発見されます。

 

後味の悪さ、ぶっ飛び具合めっちゃ、綾辻さんらしいと感じました!!

 

評価

 

※『人間じゃない――B〇四号室の患者――』のみ

 

『フリークス』の番外編ということもあり

雰囲気は完全にフリークス

 

そして、『殺人鬼』さながらのぶっ飛び具合

どちらも大好きな作品なので最高に楽しめました!!!

 

全身の毛が逆立つ読後感に後味の悪さ

これぞ綾辻 行人だっ!!と感じる最高の短編でした

 

また、本書『人間じゃない』は未読の作品があるから

楽しめないということもなく

誰でも楽しめる本です

 

ファンに限らずミステリー好きに

読んで欲しい一冊でした。