『三つの栓』の新訳版が発売されたのであらすじなどを紹介します

スポンサーリンク

f:id:yamadaenikki:20180209225747j:plain

 

1927年に発刊された正統派ミステリー『三つの栓』が

とうとう、平成で新訳されました

 

一応、日本語翻訳は他にもありますが

かなり読みづらい…

 

で・す・が

今回はかなり読みやすく非常におすすめ

もはや、『三つの栓』を今、買うなら

この、中川さんの翻訳一択

 

本作『三つの栓』は海外ミステリー作家でかなり有名な

ロナルド・A・ノックスの作品で、冒頭でも言った通り1927年のミステリーと古い小説になっていますが

 

そのトリックや推理は現代の推理小説に後れを取らない面白さ

流石は、読者に対して徹底したフェアプレーを挑んでくれるノックスさん

 

ノックスさんは今のミステリーの基本方針『ヴァン・ダインの二十則』と並んで有名な『ノックスの十戒』を作ったすごい人なんですよ!!

 

分らないという方のために一応『ノックスの十戒』を書いておきますね(^^♪

 

1.犯人は物語の当初に登場していなければならない

 

2.探偵方法に超自然能力を用いてはならない

 

3.犯行現場に秘密の抜け穴・通路が2つ以上あってはならない

 

4.未発見の毒薬、難解な科学的説明を要する機会を犯人に用いてはならない

 

5.中国人を登場させてはならない

 

6.探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない

 

7.変装して登場人物を騙す場合を除き、探偵自身が犯人であってはならない

 

8.探偵は読者に提示していない手掛かりによって解決してはならない

 

9.“ワトソン役”は自分の判断をすべて読者に知らせねばならない

 

10.双子・一人二役はあらかじめ読者に知らせなければならない

 

上記が“ノックスの十戒”となっています

一応、ノックス自身もこのルールに背いたことがあるのである程度の決まりみたいなものです

 

『三つの栓』

 

 

とある片田舎の一室で資産家・モットラムの死体が発見されたところから物語は動きます

死因は確実にガス中毒によるもの

他殺なのか??はたまた自殺なのか…

 

モットラムは、生前“安楽死保険”という巨額の保険に加入していたため

保険金目的の他殺ともとれます

何より、資産家の死によって得する人物がいるのは確かです

 

しかし、事件現場が密室だったことや生前の不可解な行動の数々…

 

自殺の動機もないとは言い切れません

 

自殺とも他殺ともとれなし謎の死。

推理小説ではよく見かける設定ですね

 

これだけでもノックスさんの文章力があれば面白くなると思いますが

さらに、事件現場にはガスを供給するための“三つの栓”がありました。

 

この三つの栓が事件をさらに複雑なものに変えています

 

そして、この難事件に挑むのが本作『三つの栓』の主人公マイルズ・ブリードンです

 

安楽死保険

 

まずは、安楽死保険という『三つの栓』に出てくる保険の説明からしていきましょう

 

安楽死保険の“安楽死“とは

皆さんご存知のあの安楽死とは全く関係ありません

 

主人公・マイルズを探偵として雇っている

インディスクライバブル社が行っている保険で

もちろん料金はお高い

 

ですが、65歳まで払い込むとあとは年金としてかなりの額を死ぬまで受け取れるという商品

 

一方、仮に65歳より前に死んでしまった場合

あらかじめ設定した遺産相続人に50万ポンド支払われるという魅力的な保険

 

しかし、65歳より前に死んだとしても1ポンドたりとも支払われないケースもあります

それが、自殺

 

今回の事件は、保険金目的の他殺かそれとも自殺かをマイルズが見極めるお話しです。

 

二人の探偵役

 

『三つの栓』の探偵役は我らがマイルズ以外にもう一人います

 

その人物こそがマイルズの旧友・リーランド

 

リーランドは、今回のガス中毒での謎の死を調査すべくたまたま現場に来ていたロンドン警視庁の警部

 

その推理力はマイルズに勝るとも劣らない腕前

 

マイルズは自殺と推測

一方、リーランドは他殺と双方真逆の意見になってしまったことから

自殺か他殺か5ポンドを賭けて推理勝負をすることに―

 

人が死んでいる事件で推理勝負??

正直、不謹慎な気もしないでもないですが

この推理勝負が『三つの栓』をさらに面白くしています

 

どんどん上がる賭け金

 

f:id:yamadaenikki:20180209232221j:plain

 

先ほどお話しした通り

二人の探偵は事件の結末を予想し賭けをしています

 

最初は5ポンドと小さな額ですが

ストーリーが進行し、二人は自分の推理に確信を感じていきます

 

推理に自信があると来れば掛け金が上がるのはもはや必然

 

「よかろう、だったら、例の賭け金を倍にしないか?」

P.99より

 

この会話の直後10ポンドのさらに倍、20ポンドに賭け金は上がりました

 

そして

 

「なあ、きみはぼくのことを救いようのない石頭だと考えているかもしれないが、今でさえぼくは、あの賭けをさらに倍にしてもいいと思っているんだ」

P.154より

 

この会話で賭け金は実に40ポンド!!

 

事件の結末にも注目ですが

二人の賭けにも注目して読んでいただきたいものです

 

評価

 

結末とトリックはあと少しインパクトが欲しかったものの

1927年に発刊されたことを考慮するとかなり手の込んだ作品だったと思います

 

“ノックスの十戒”に則りトリックは物語に散りばめられた手掛かりのみできっちり解決していました

 

なにより、犯人の確かなる根拠が得られるたびに

その根拠がすぐに否定される感じがすごく好きで

さらに夢中になり読みやめる所を失ってしまいました