国内ミステリー作家か~こ

倉知淳さんの『皇帝と拳銃と』が倒叙ミステリーの傑作でした

f:id:yamadaenikki:20180219122319j:plain

 

倉知 淳さんの新刊『皇帝と拳銃と』が発刊されました

 

買ったはいいけど、すっかり読み忘れてしまい今頃になって記事にしているしだいです…(-_-;)

 

倉知さんといえば『猫丸先輩シリーズ』をはじめとする数々のミステリー小説を描き続けているベテラン作家

 

そして、今回の『皇帝と拳銃と』は倉知さん初の倒叙ミステリーシリーズ作品でガチもガチ!!!

すっげー面白い!!

 

倒叙ミステリーの面白さが醍醐味がすべて詰まった倒叙ミステリーの傑作となっています

 

倉知 淳『皇帝と拳銃と』

 

 

早速、本編の話をしていきましょう

 

1.『運命の銀輪』(ミステリーズ! vol.33)

 

2.『皇帝と拳銃と』(ミステリーズ! vol.64)

 

3.『恋人たちの汀』(ミステリーズ! vol.75)

 

4.『吊られた男と語らぬ女』(ミステリーズ! vol.84)

 

の、4編からなる短編小説で今回はその中から個人的に好みだった2編を紹介していきます

 

『まずは、探偵役から』

 

おすすめの2編を紹介する前に最初に本作の探偵役・乙姫警部をご紹介します

 

この探偵役の乙姫警部はすごくいいキャラをしています

 

まずは、その容姿にご注目を…

 

どの話にも必ず登場する乙姫警部ですが

乙姫警部を初めて見た人はその容姿を“死神”と例えるのです

 

そりゃもう、しつこいくらいに死神を連呼(笑)

 

その男は、まさしく死神にしか見えなかった。

 

痩せこけて削られたような頬。鋭く鋭角的な顎。大きく尖った耳。魔女のような鉤鼻。

全身から立ちのぼる陰気なオーラ。そして何より、その目に特徴がある。

落ち窪んだ眼窩の奥にあるその瞳は、光をも吸い込むブラックホールのごとく深い闇の色に沈み込み、暗く陰気で、虚無の底に繋がっているみたいに表情が感じられない。

 

てっきり、何か超常的な存在が出現して、死者の魂を迎えに来たのかと思った。

 

p.91より引用

 

あれ?この人って犯人じゃなくて警察の人だよね??

 

ってなるほど警察の人とは思えない容姿に呆気を取られてしまいました

 

この、超ギャップのある探偵役・乙姫警部がスパッと事件を解決してくれるわけですが

 

名前が乙姫って

容姿と名前のギャップがありすぎでしょう!!!

 

『運命の銀輪』 

 

凶器となった金槌でランニング中の被害者の頭をドンッ

 

そして、あらかじめ用意していた自転車で自宅まで一気に逃走

 

自宅につくとすぐに宅配便が来て完璧とは言えないがある程度のアリバイを確保することに成功

 

天が見方をしているのか外では雨まで降り始めます

 

雨はかなり大きな偶然で現場に残った足跡や自転車に残った現場の土などあらゆる痕跡を洗い流してくれるからです

 

そして、夜半から雨になった

天気予報の通りだった。

 

これも歓迎すべき事態だ。現場の痕跡がすべて洗い流される。

足跡も、衣類の繊維も、一本の髪の毛も、一滴の汗も―伊庭があの殺人現場にいた証拠が、全部消えてしまうのである。最高ではないか。

 

p.12より引用

 

こんな具合で犯人の伊庭 照彰を援護するかのように偶然が積み重なります

 

そんな偶然が重なっては犯人が伊庭だとはだれも分かるはずはない

 

“死神”を除いては―

 

まず、おすすめしたいのがこの作品!!

最初に収録されていただけにかなり無難な倒叙ミステリーとなっています

 

ラストの鈴木刑事(乙姫警部の相方)が伊庭を捲し立てるシーンはかなりしびれました!!

 

乙姫警部がどこから犯人である伊庭を疑っていたのか

という点に注目して読んでみると面白いです

 

『吊られた男と語らぬ女』

 

おすすめ2編目は最後に収録されていたこのお話

 

男性の首吊り遺体を発見

 

状況からみてほぼ自殺に思われたがそこに謎が浮上します

 

犯行に使用されたロープと発見時に吊るされていたロープは別物という謎

 

「検視官の先生の見立てでは、恐らく首をつるされたことが死因だろうとのことですが、詳しくは解剖の結果を待たないといけません。

 

ただ、首吊り自殺と考えるには決定的におかしな点があったのです。ご遺体の首に残っていた索状痕は、太いものでした。

先生の見たところ、少なくとも太さ二センチ以上のロープでついた跡だと断言できるとのことです。

しかし、堀部さんが実際にぶら下げられていたロープは、径がずっと小さいものだった。鑑識が回収したロープは直径一センチほどです。これがどういう意味を持つか、判りますか、相内さん」

 

p.290,291より引用

 

これは、明らかに殺人に思われるが、しかし

遺体には抵抗した痕跡が一切見当たらないのです

 

通常、絞殺された場合、苦しみから自分の首を掻き毟った痕つまり吉川線のような抵抗が遺体には残るはずなのですが、発見された遺体は非常にきれいな状態

 

少し、整理しましょう

 

謎① 何故わざわざロープの太さを変えたのか

 

謎② 体重69キロ、身長177cmの遺体をどのようにして吊るしたのか

 

この二つがこの話で説かなくてはいけない謎

 

結末には「そうきたか!!」となりました。

 

『皇帝と拳銃と』の最後にはとても相応し最終話でしたが

ラストシーンを読んで心臓に何かがグサッと刺さる感覚に陥りました。

 

こんな悲しい事件は起きないで欲しいものです

 

評価

 

※『吊られた男と語らぬ女』のみ

 

「そう落とすか!」という感じでしたが

読み返してみると確かに、不審な点が節々にあり納得できます

 

個人的に最終話が一番好みで素晴らしいの一言です

 

全体を通して考えると王道から少し変わった倒叙ミステリーまで様々な種類の作品が収録されていて

倒叙ミステリーの面白さを再認識させてくれる本でした

 

また、倒叙ミステリーを初めて読む方にも楽しめる小説だと思います。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です