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小林泰三『人外サーカス』-吸血鬼vs人間。生きるか死ぬかのサバイバル・ミステリー

小林泰三『人外サーカス』

 

  • 吸血鬼vs経営不振のサーカス団でのサバイバル・ミステリー
  • ミステリー的な捻りを加えたバトル描写も見所
  • 小林泰三史上トップクラスの悪趣味なスプラッターもの

先日本屋にふらーっと寄ると、小林泰三さんの『人外サーカス』が発売されていました。

タイトルといい、表紙といい、本全体から感じられるダークな雰囲気…

これは小林ファンとして読むしか選択肢はありませんでした。

 

読了後の単純な感想としては、小林泰三史上最も悪趣味な作品。

小林さんの作品をいくつか読んでいる私ですらも目を背けたくなるシーンが多々。グロ表現があからさまに無理という方には正直おすすめしがたいですね(;^ω^)

 

しかし、さすがミステリー作家。

グログロのバトル描写からのサプライズ。そしてあのオチの付け方。

個人的にはかなり当たりの作品を引きました。

ゴシックでダークでグロ表現が大好きという人にはかなりおすすめです。

小林泰三『人外サーカス』


経営不振で大ピンチを迎えたサーカス団「インクレディブルサーカス」。

これでもかつては大勢のメンバーがいたのだが給料の未払いが原因で去ってゆく。

というのも、現在の「インクレディブルサーカス」の団長は経営に関してはからっきしダメで、ただ最年長だからという理由で団長を張っているだけなのだ。

…なぜそのような人が団長なのか。というのは長くなるので本作を読んで下さい。

上記の理由から現在の「インクレディブルサーカス」の団員は10名。

そんなサーカス団に悲劇が起こったのだ。

 

巡業先の公園で大テントを設営を始めた団員たち。

そこに突如現れたのは、彼らの命を狙い吸血鬼だった…。

 

どうやら、吸血鬼サイドは対吸血鬼軍隊・コンソーシアムと勘違いをして襲撃しているようだった。

「人間の作った対吸血鬼軍隊―コンソーシアムだ」

「実在していたのかてっきり都市伝説だと思っていた」

(省略)

「やつらは偽装しているんだ」

「何に偽装しているんだ?」

「サーカス団だ」

p.43より引用

吸血鬼たちの勘違いから運悪くも襲撃されてしまったインクレディブルサーカス団。

人の肉を喰らい、身体能力も回復力も規格外の吸血鬼に彼らはそれぞれの特技を持って対抗する。

インクレディブルサーカス団の運命は?

それぞれ趣向を凝らした予測不可能なバトルの行方が気になり手が止まらない

本作に登場する吸血鬼はまさに怪物。

人肉を好み、空中を自由に飛行し、傷を負ってもすぐに完治してしまいます。

 

言うまでもなく、サーカス団との力の差は明らかです。

しかし、日ごろの鍛錬とステージで培ったスキルを駆使し対抗するのです。

そのバトルシーンがどれも予測不可能。次はどんな手で吸血鬼と戦うのかが気になって読む手が全く止まりませんでした。

言葉の通り一気読みです。

 

例えば、空中ブランコ乗りのカップル・リジィとジェヌ、バイク乗りのクワイが女吸血鬼・キャタピラーと戦ったシーン。

綱渡り師・ギブキィとビストリィと少女の吸血鬼・キリフィッシュの死闘。

本作の主人公でマジシャンの蘭堂対吸血鬼グループのボス・グリズリとの頭脳戦。

 

どれも見せ方が違い全く飽きることなく世界観に浸れました。

特に、グリズリとの頭脳戦はしびれました。

『ネフィリム 超吸血幻想譚』の番外編的な作品が『人外サーカス』

小林泰三さんの作品で『ネフィリム 超吸血幻想譚 (角川ホラー文庫)』というものがあります。

その作品は、インクレディブルサーカス団が吸血鬼に襲われる原因となったコンソーシアムにランドルフ(『人外サーカス』でも登場した)が入隊したことについて書かれています。

 

『ネフィリム』はただ一方的な殺戮を描いた作品。

番外編に当たる『人外サーカス』は吸血鬼vs人間のサバイバル・ミステリーを描いた作品。

2作とも読了している私としては…

 

……結局どっちも小林泰三史上トップクラスで悪趣味な話だった。

そりゃ、番外編名なわけだし本編の悪趣味さも継承していますよね(;´∀`)

 

『人外サーカス』を最大限に楽しんでいただきたいので私としては、『ネフィリム』→『人外サーカス』の順で読むことを強くおすすめしたいところ。

まとめ : 魅力的な設定を詰め込んだミステリーのハッピーセット

サーカス団、マジシャン、吸血鬼…など、とにかく魅力的な設定を詰め込んだまさに、ハッピーセット( *´艸`)

血が飛び散るシーンが多々あり、ときには目を背けたくなるような痛さを表現している作品ですが、その描写は残酷で美しい。

文章の1つ1つが洗練されていて、読み応えも充分。

 

……グロ・ホラーはちょっと…。という気持ちも分からなくもないですが、一読の価値はあります。

ここまでこの記事を読んでくれたのです。あとは怖いもの見たさで読んじゃいましょう♪

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