メフィスト賞

名倉編『異セカイ系』| 第58回メフィスト賞は「作者への挑戦状」が熱いんです

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さて、第58回メフィスト賞を受賞した『異セカイ系』がついに発売されました!!

発売日よりずいぶん前から予約していて、超楽しみにしていたんです(≧▽≦)

 

今回の受賞作『異セカイ系』もかなりメフィっていて、とても楽しんで読めました。

 

作中の好き勝手やっている具合だと、第53回メフィスト賞を受賞した柾木正宗さんの『NO推理、NO探偵? 』と同じレベル。

メフィスト賞好きならどれぐらいやばいのかわかりますよね。

キャラが濃く、ギャグもクスッと笑えるものが多く、設定がぶっ飛んでいる!!

こりゃあ、メフィスト賞好き必読です(*’ω’*)

 

名倉編『異セカイ系』

小説投稿サイト「White Novel」で『臥竜転生』という作品を投稿している元ニート名倉編。

ついに、その小説投稿サイトのランキングでトップ10入りを達成!!

 

これで、夢の小説家としてデビューできると思っていたが出版社からの連絡はなく(当たり前ですが)、仕方なくアルバイトを始めることに

 

出勤しようとバスを待っていると…

「いまからあなたの人生はこれからおおきくかわる」

と、どこからもなく声がしました。

は?

なにいまの。
だれ? 女か男か。中性的なこえ。耳もとでささやいた。よな? さっき。は?

なに? だれ?
なんの意味?

そら。ニートがバイト行く。人生は変わる。それはまぁそう。けど。耳もとでささやいてすがた消す。ようなこと?

p.12より引用

しかし、振り返っても誰もおらず、声の主の性別すらも分からない。

まあ、気にせずバイトに行くか。とバスに乗り込み出勤します。

名倉編は労働をすることで自分の人生が何か変わるのではないのかと期待していましたが、そう甘くはありません。

こんなむなしさしかないんなら、死にたいな…

シュン!!

 

 

あれ? ここって、、、

メフィスト賞らしいクセのある設定

やはり、メフィスト賞といえば、クセの強いエンターテイメントですよね(*゚∀゚*)

もちろん、この『異セカイ系』も例外ではありません!!

 

『異セカイ系』では、小説投稿サイトで10位以上を獲得し「死にたい」と思うことで自分の描いている小説、名倉編の場合だと『臥竜転生』の世界の中に入ることができるようになるのです!!

なにこれ~
ベタやな~
ベッタベタやん。

なに「ここではないどっか行きたい」思てたら異世界転生しましたて。

いや転生モンは好きやで? けどもうちょいあるやろ。ひねれや。ひねってひねってひねりなさいや。

ま。ええわ。だれがなにをどう考えてこうなったんか知らんけど。なったもんはしゃあない。

p.21より引用

まあ、こんな感じで思わぬ異世界転生を果たした名倉編。

 

自分の小説の世界に入れる人にしかわからない苦悩というものがあるんです。

それは、自分の書いたシナリオでキャラクターが死ぬということは、作者による殺人。

例えば、というか、『臥竜転生』でヒロインの母親が殺される場面。

 

魔王軍の襲撃で、魔王軍幹部の闇の竜騎士がヒロインに襲いかかりそれを助けるためにヒロインの母親が代わりに死んでしまう。

というシーンがあります

 

しかし、キャラ観点から見たら、闇の竜騎士が突如娘に襲いかかってきて、それをかばい結果的に殺されたという事になりますが

結局はそれも作者である名倉編が意図的に書いたシナリオの一部。

 

つまり、作中で誰かが死ぬ=犯人は作者。ということ考え方です。

自分の書いたシナリオ通りにキャラクターが喋りだし

自分が書いたシナリオで愛するヒロインの母親が死んでいく…

そうこうしているうちに名倉編は気づきます。

 

他のランキング上位陣の作品では誰も死んでない。という事を。

 

そう、同じ小説投稿サイトでトップ10入りを果たしている上位陣も名倉編と同じく小説の世界に入ることが出来るのです。

この事に気がついた名倉編は、ランキング上位陣にコンタクトを取るもなにやら歓迎されていない雰囲気……。

 

そりゃそうですよね。他の上位陣たちも自分の小説の世界が掛かっているんです。

作者にとって、自分が生み出したキャラは我が子のような物ですから。

小説の世界に入れる条件。

渋々上位陣が教えてくれた情報は、10位から転落した場合、13日以内に10位以上に復帰しなければ小説の世界に入れなくなる。

とりあえず上位陣と協力関係になるのを後回しにして、今はヒロインの母親を救うため動こうとするのですが

 

ここでも問題が発生。

ヒロインの母親を助けるのは簡単。過去に書いた話を変更し、母親が死なないようなシナリオを作るだけ。

そうすることで、母親の死なないストーリーの完成。

しかし、名倉編の『臥竜転生』はキャラが頻繁に死ぬお話なのです。

なので、すでに決定している話を変えて、これから誰も死なない作品を作ってしまうとランキングが10位から落ちてしまう。

 

さあ、名倉編はどのようにしてヒロインの母親を救うのか

そもそも、どうして、ランキング10位にランクインする事で小説の世界に入ることが出来るようになったのか…

 

「読者への挑戦状」ならぬ、「作者への挑戦状」

もう、テンション上がりっぱなし!!

 

裏表紙のあらすじで、「作者への挑戦状」の話はみていたので、いつでるかうずうずしながら読み進めていましたが、後半でようやくですか!!

 

普通ミステリーでは読者に犯人を当ててみろという意味を込めて「読者への挑戦状」が作者から提示されることがあるのですが

『異セカイ系』では、作者に謎を解いてみろということで「作者への挑戦状」が提示されているんです!!

もちろん、回答者は『臥竜転生』の作者である名倉編。

提示された謎は

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う~ん、かなり面白い挑戦状ですね(*’ω’*)

 

ここから展開される鋭いロジックはまさしく、本格ミステリーのそれ。

『異セカイ系』最大の見せ場であるこの展開があるだけで読む価値は十分にあります!!

それに隠されている問3もなかなか美味。

詳しくは書きませんよ、こればっかりは読んでからのお楽しみということで。

おわりに

今回のメフィスト賞も変わらずクセの強いモノでしたね!!

しかし、本格ミステリーとして、エンターテインメントとしてかなり満足度の高い作品でした。

特にだれも思いつきもしなかった、いや、思い付いたとしても実践できなかった「作者への挑戦状」。

そんなものがあるというだけで読みたくて読みたくて震えていました!!

 

この手の作品は、重い展開にすることも、軽い展開にすることもできるのですが、関西弁の主人公を設定してあげることで、ポップな軽い展開が上手く演出されていました。

皆さんも気になったらぜひ読んでみてください(^^♪

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