野城亮『ハラサキ』-読みごたえのある王道ホラー小説

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第24回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作品

 

野城亮さん『ハラサキ』

 

流石は読者賞を受賞する作品ですね

話の運び方や情景描写などはかなり完成度が高く本当に野城亮さんの処女作は”ハラサキ”なのか

実は別名義で書いてたりしないかと疑うレベル

 

温泉街の雰囲気がスッと頭に入り込む描写

それに、好奇心を掻き立てる伏線などで読者を上手く

ハラサキの世界観に引き込み

最大の見せ場であるラストの数行に導く

 

野城亮『ハラサキ』

 

 

ハラサキ あらすじ

 

百﨑日向(ももさきひなた)は結婚が決まり十年ぶりに故郷である竹之山を訪れようとしていた

 

駅のホームで小学時代の親友

相原沙耶子(あいはらさやこ)と名乗る人物に声をかけられ一緒に竹之山へ行くことに

 

日向には小学生の時の記憶がなく

親友と名乗る沙耶子のことはもちろん覚えていない唯一覚えているのはいつ見たかわからない黄金色の風景だけだった

 

電車の中で沙耶子の話を適当に合わせていると

夕日にも似た光が日向を包み込み気を失う

 

目を覚ますと竹之山駅に到着している

 

そして、駅で見た女性の死体

状況から考えると数時間は放置されていた

そのことから二人は、ここは隔離された別の世界だと確信する

 

隔離された世界で見たものとは

記憶が全て蘇るとき本当の恐怖を日向は体験する

 

日向は、竹之山のことを覚えていない。

通った学校も、実家の記憶さえも、残っていなかった。唯一心に焼き付いているのは、ふとした瞬間に広がる黄金色の景色だけだ。

P22.23より

 

ミッション:温泉街をめざせ!

 

というわけで

 

駅で死体を発見した二人は

死体が握っていた手紙を読みます

 

手紙には被害者の悲痛な叫びが記されていました

 

女性を殺害したと思われる影の化け物

この空間では温泉街へ向かわないと夜が明けないなどが書かれていました

 

異空間には少なくても

三人いると沙耶子は推測します

自分達二人

それに、目の前の女性を殺した影の化け物

 

駅にいても安全を確保できないと

手紙に従い夜明けを目指し竹之山の温泉街に向かうことにします

 

温泉街の道半ばで手紙に書いてあった

影の化け物に遭遇

 

二人は襲い掛かる黒い影から逃げ切り無事に温泉街にたどり着くことができるのか――?

 

『ここは処刑場だ。でも、私は悪いことなんかしていない

奴らは今も私を見ている。私を見下ろすあなたのことも。奴らはどこにでもあらわれる。

まるで影の化け物だ

待っても時間は進まない。

夜明けは温泉街にある。

気が遠くなるくらい、温泉街をさまよったけれど、私には無理だった』

P.35より

 

ハラサキ:夕日の悪夢

 

夕日のような光に包まれることでしか

時間が進まない別空間の世界

 

決まって、光の中では気を失う

気を失っている間は見るに堪えない悪夢が…

 

時間を進めるために日向の案で光を捜し

とりあえず夜明けまで時間を進めようと考えます

 

「たぶん、夕日を見ることで時間が進むんだと思うの。だから、夕日を捜して時間を進めていけば、この夜も明けるんじゃないかしら

夜が明けたとして、本当にここから出られるかも、今はわからないけど」

P.83より

 

夕日に包まれるほど深まる謎

悪夢の先に待っている悲壮な運命―

 

もう一押し

 

結論から言うと

 

ラストにもうひと捻り欲しかった…

 

決して面白くなかったわけではありませんでした

いや、むしろかなり好みで好きなジャンルでもあります

だからこそ、欲が出るというものです

 

それと

 

『ハラサキ』は良い意味でも悪い意味でも

お手本のようなホラー小説でした

ただ、面白いことに変わりはないです

 

お手本のように感じたのに、ここまで面白く書けるのは

野城先生の文章構成の上手さがあってこそだと思います

 

次の作品にかなり期待できる作家さんです

 

ハラサキ 感想

 

ハラサキは、残虐で過激な描写、王道のホラー小説

とどめはミステリー要素でかなり読み応えのある作品でした

単純に面白いの一言に尽きます!

 

ハラサキの作者である野城亮先生は

まだ、若いながらも

文を書くセンスが同年代の作家よりも頭一つ出ていると思います

 

ミステリー要素のおかげで

「次の展開を早く!!」となりますが

同時に怖いからページを捲りたくないという葛藤が多々あり一人で楽しんでいました

 

文章は全体を通し、かなり滑らかに仕上がっていて

読みやすく、ページ数も少ないので

一晩でサクッと読み終わると思いますので

ハラハラ、ドキドキしながら楽しんで読んでください!