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小林泰三『アリス殺し』-唯一無二。超絶ミステリー・ファンタジーがここに!!

小林泰三『アリス殺し』

 

この本のポイント
  • 不思議の国のアリスを題材としたお話
  • 不思議の国で起こった事件は地球でも起こる
  • グロテスクな表現があるので苦手な人は要注意

 

『アリス殺し』―

タイトルだけで『不思議の国のアリス』が物語の軸であるという事が分かります。

さらに、「その登場人物のアリスは何者かに殺されてしまうのだろう」という予測も立ちます。

強烈なタイトルで既に興味をそそられていたのですが、加えて作者は小林泰三さんときた。これは私的には読むしかありません。

 

『アリス殺し』を初めとする続く本シリーズ。

必ず『アリス殺し』を読んでから『クララ殺し』、『ドロシー殺し』と順番に読むことを強くおすすめします。

世界観がかなり独特なので1作目の『アリス殺し』を飛ばして読んでしまうとその世界観についていけなくなってしまう恐れがあるからです。

 

では、そんな『アリス殺し』がどんなお話なのか感想を交えて紹介します。

小林泰三『アリス殺し』


大学生の栗栖川亜理(くりすがわ あり)は毎晩『不思議の国のアリス』の夢を見る。

いや、夢というにはリアルすぎる…

それに、同じ夢をもう何年も見ているようだった。

 

そんなある日、不思議の国(=夢)の世界でハンプティ・ダンプティが墜落死した。

状況からみてハンプティ・ダンプティは何者かに突き落とされた。つまり殺人事件だった。

 

地球では亜理が目を覚まし大学へ行くと研究員・王子玉男が屋上から落下して亡くなっていた。

こちらの事件は自殺とも事故ともとれない。

 

「王子さんの不思議の国でもアーヴァタールはハンプティ・ダンプティだった」

(省略)

「そう。二つの世界の死はリンクしている可能性がある」

p.49より引用

※アーヴァタールは不思議の国での配役という認識

そう、夢と地球はリンクしているのです。

夢で役を演じている人物が死ぬと、地球でも死ぬ…。

そんな状況でも呑気な夢の世界では殺人が続く。そのたびに地球では人が死ぬ。

また夢の世界で殺人が起こる、そして、地球でまた死人が出る……

 

不幸なことに夢の世界で起こった殺人事件の第一容疑者として疑われてしまったアリス

もし夢の世界で実刑になってしまったら間違いなく死刑になる。

つまり、地球での栗栖川亜理の死を意味する。

 

アリスに掛かった容疑を晴らすべく亜理は同じような夢を見る井森建(いもり けん)と共に事件解決に乗り出す。

果たして、犯人の目的は?

夢とリンクした地球のひみつとは…?

堂々巡りの言い回しで好き嫌いが分かれる

原作の『不思議の国のアリス』では言葉遊びがふんだんに盛り込まれていることで有名です。

小林さんもそれを忠実に再現したかったのでしょう。所々で原作を意識したと思われる会話がちらほら見受けられます。

そこが好き嫌いが分かれるポイントだと感じました。

 

例としてチェシェ猫とアリスの会話を引用しました。

「君がシリアルキラーだから、らしいよ、アリス」

「それこそ何の根拠もないわ」

「ハンプティ・ダンプティとグリフォンを続けて殺してるのだから、シリアルキラーに決まっていると言っていた」

「私はどちらも殺していない」

「どうしてそう言い切れる?」

「だから、理由が無いでしょ」

「理由は君がシリアルキラーだから」

「だから、その根拠は?」

「ハンプティ・ダンプティとグリフォンを続けて殺してるから」

「殺していないって言ってるでしょ」

「どうしてそう言い切れる?」

「だから、理由が無いでしょ」

「理由は君がシリアルキラーだから」

p.99,100より引用

というような感じで意味があるのか定かではない会話が中盤に多く見受けられ少しテンポが悪くなったように感じました。

 

とはいえ、序盤、終盤のテンポは非常に良く小林ワールドに引き込まれていきました!(^^)!

会話が中心で物語が展開されていてグイグイ読まさせる

会話が中心で物語が展開されるのは小林さんの作品の特徴の一つ。

体感的に『アリス殺し』は小林さんの他の作品より会話が多いと感じました。

 

会話が多いのでサクサク読み進められます。

さらに、個性豊かなキャラクターも相まって、まるで漫画の1ページを読んでいる感覚で読め全く負担にならない作品です(^^♪

 

では、「会話が多い分背景描写や内容が弱いのでは?」と感じる人もいるかもしれませんがそんなことはありません。

地の文には必要最低限な情報が入っていますし、キャラクター同士の会話で事件の概要などを言っているのでその心配はいりません。

ですが、ガチガチの本格ミステリーを求めて…という事なら少々弱いか感じるかもしれませんが。

まとめ : 唯一無二のミステリー・ファンタジー

今回のまとめは唯一無二のミステリー・ファンタジーこれに尽きます。

ミステリー・ファンタジーは結構多く読んでいるつもりですが、ここまで独特の世界観を出しているのは本シリーズ以外ぱっとは出てきません。

それぐらいの衝撃でした。

 

この『アリス殺し』レベルの作品が、既刊だけでも3作あるんです。

もう読む手を止めることは不可能。

小林泰三さんのファンのみならず、ちょっぴりダークな雰囲気の『不思議の国のアリス』が好きなら飛びつく価値ありです!!

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